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明治大学広報
第604号(2009年2月1日発行)
本棚
「キケローにおけるヒューマニズムの哲学」
─ブルクハルトとニーチェともつなげて─
角田幸彦 著
(文化書房博文社、3800円)
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 本書は、著者の14冊目となる単独執筆の学術書である。これまで著者がこれらの著作で論じた主題は、プラトン、アリストテレスに始まって、キケロー、セネカの哲学、歴史哲学、さらには景観哲学に及んでいる。

 著者は、キケロー(前106〜43年)の哲学を、人間性に目覚め人間性を涵養することを意味するフーマーニタース(ヒューマニズム)の包括的、本格的表現と捉える(本書151・152頁)。

 「キケローなかりせばヨーロッパは野蛮のままに進んだであろう」というニーチェの言葉に繰り返し立ち返ってキケローの思想の豊かさを強調する著者は、古代ローマの思想、哲学を軽視する、わが国だけでなくヨーロッパにおいてもしばしば見られる傾向を批判する。

 古代ローマの歴史家タキトゥスとカエサル、サッルスティウス、近代の歴史家ランケ、ブルクハルトらのそれぞれの史観についても縦横に論じた本書は、史学思想史、史学理論に関心を寄せる読者をも大いに啓発するであろう。

三宅正樹・名誉教授(著者は農学部教授)



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