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明治大学広報
第605号(2009年3月1日発行)
論壇
「大学院教育の組織的展開─総合学術センターの建設」
大学院長 吉村 武彦
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 最近では、学部は一般的教養と専門分野の基礎教育、大学院が学問の高度な専門研究を担うという考え方が一般的になってきた。今さら英語表記ではないと思われるが、学部が「undergraduate school」で、大学院は「graduate school」である。国際的な学術交流でも、研究を中心とする大学院の交流が重視されている。しかしながら、大学院教育の実質化が叫ばれて久しいが、人文・社会科学系ではまだ難しい局面が続いている。

 日本では、2006年12月に教育基本法が改正され、その第17条第1項で規定された「教育振興基本計画」が、08年7月から施行された。今日では、この基本計画によって大学院政策が実施されている。一言でいえば、「世界最高水準の卓越した教育研究拠点を形成するとともに、大学院教育を抜本的に強化する」ことになる。具体的施策としては、①世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成②大学院教育の組織的展開の強化③若手研究者・女性研究者等が活躍できる仕組みの導入、が挙げられている。

 明治大学大学院においてもそのポリシーに異存はなく、むしろ問題は、その具体化に必要な教育研究環境の整備である。①はグローバルCOEプログラム、②は大学院教育改革支援プログラム(大学院GP)として、財政支援を含めて実施されている。残念ながら、GCOEは自然系で1取組、GPは人文系と自然系で各1取組を数えるにすぎない。全学的に教育研究環境を創成させるには、人文・社会・自然系で最低でも各1取組は必要である。学内には優れた研究者が多いにもかかわらず、これまで組織的な教育研究体制を構築できずにきた。

 実は今年度まで、大学院には学部の教育振興費にあたる予算がなかった。大学院教育の組織的展開をはかる財政的裏付けがなく、いつしか教員からは諦めの気持ちが溢れていた。理事会が新しくなり、来年度から大学院振興費がつけられる。この予算を有効に使うため、GCOE、GPへとつなぐ「学内GP」を設けることにした。こうしたプロジェクト型教育研究の展開により、部分的にも大学院教育の実質化を図りたいからである。組織的な教育研究には財政的措置が不可欠であり、学内予算が限られている私学では、GCOE、GPや科学研究費補助金などの外部資金を活用して、研究を進展させる必要がある。

 そのためには、教員と大学院生とが共同で研究に取り組めるスペースがなくてはならず、まずは駿河台地区に総合学術センター(研究ラボタワー)の建設が必要である。「教育の大学」から「教育・研究の大学」に変わるのは、今や焦眉の課題となっている。

(文学部教授)



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