4月から、明治大学を留学先に選んだロシア人女性の指導担当教員となった。彼女は平安時代史を専攻として選んだのだが、その理由は、マンガ・アニメなど現代日本のポップカルチャーの源流が平安時代の文化にあると考えたからなのだという。日本文化を外から眺めながら現代の文化現象と歴史的伝統の関係に考えをめぐらした彼女の発想は、筆者には新鮮であった。 明治大学では現在、いわゆる“マンガ図書館”の建設計画が具体化し、国際日本学部ではマンガ・アニメなどのポップカルチャーを本格的に扱う教育が展開する一方、観世能楽堂の建設が検討され、現代文化と伝統文化双方に目配りした取り組みが進められている。 外国人受け狙いが全てでないことはもちろんだが、冒頭で紹介したような留学生の関心と期待に応えられるだけの条件が、明治大学で整えられつつあることは誠に喜ばしい。日本文化に対する彼女の熱いまなざしは、そのまま明治大学に向けられたものであり、それは、私たちの課題と責任のありようを示すものでもあるのだ。 前のページに戻る