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明治大学広報
第608号(2009年6月1日発行)
本棚
「すらすら読める枕草子」
山口仲美 著(講談社、1600円)
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 この書は、『シリーズ』の一冊。瀬戸内寂聴も担当している。

 『枕草子』を男も女も拳拳服膺(けんけんふくよう)すべき「礼儀作法」、あるいは守るべき「マナー」の書と読み解く。基底に清少納言の「鋭い感性や観察眼」があると説く。斬新な視座だ。

 それにしても、清少納言がミーハーであったとは! 「いい男」とは?挙措動作が優美で、機転が利き、ファッションセンスが良く、よい匂いをさせ、容姿よく美男、しかも出世姿がステキ。「めでたきもの」(八四段)をこう纏める。礼儀作法とマナーが身についていればこその、「かっこよさ」なのだ。

 本書の魅力は、本文の語りだけでなく、訳文にも遺憾なく発揮される。「暁に帰らむ人は」(六一段)。逢瀬の後の去り際、大きな音や声を出して「『まかりなむ』とばかりこそ言ふらめ」を、仲美節は「『失礼します』とほんのひとこと言って出て行く!これって、最低の男よね」と、千年前の口調に、今を見事に重ねる。仲美節の根底に手堅く地道な研究者・山口仲美氏がいる。巻閉じると「清少納言は私だよーん」という仲美少納言のさわやかな笑い声が聞こえてくる。

  吉田悦志・国際日本学部教授(著者は国際日本学部教授)



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