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明治大学広報
第609号(2009年7月1日発行)
本棚
「幕末維新の文人と志士たち」
徳田 武 著(ゆまに書房、3800円)
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 徳田教授といえば、1987年『日本近世小説と中国小説』によって日本学士院賞を受賞された、日本近世文学および漢詩研究の大家として知られているが、本書には、幕末維新期の「漢学を主要な教養とする文人や志士たち」の文業と人生を論じた七編の近稿が収められている。

 執筆の動機について、「幕末維新という時期は、日本の歴史の内でも最大の激動期であるだけに、その時期を生きていた人々の人生は大きく揺れ動くことが多い。言い換えれば、人生が面白いのである」と語られているように、氏の筆は、馬琴による西鶴摂取を検討した一文に始まり、大河内輝声の中国白話小説通を論じたかと思えば、清河八郎と間崎滄浪の出会いを考証、町井台水による天誅党逮捕の記録を紹介、大橋訥庵逮捕の経緯を追跡、さらには松斎大庭恭平の生涯を辿って、近世文学論から史論・人物論にと縦横無尽の展開をみせる。

 今さらながら、氏の博学多識と周到な実証的学風に、圧倒されるばかりである。

 村上一博・法学部教授(著者は法学部教授)



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