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明治大学広報
第609号(2009年7月1日発行)
論壇
「新たな船出、そして終わりのないチャレンジ」
専門職大学院長 市川 宏雄
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 戦後急速な成長を遂げた日本にとって、バブル経済崩壊後の1990年代後半は、社会経済の急激な変化と多様化、複雑化、高度化、そしてグローバル化の波に飲み込まれた。技術先進国でしかも経済大国の地位を長く築いてきた日本にあっても、科学技術の急速な進展への対応、さらには組織運営や意思決定のあり方について課題が山積みになるなかで、新たな人材の育成が必要となった。大学・短大・専修学校を含む高等教育進学率はすでに7割を超えていながら、社会の要請に応じることのできる人材が十分でないとの危機感が生じたのである。

 そうしたなか、大学院における社会的・国際的に通用する高度専門職業人養成の期待が急速に高まった。社会の各分野で指導的役割を果たし、高度な専門知識を備え、国際的にも活躍できる人材である。そのため、すでに社会経験を有し、職業資格を取得している者への、さらに高度な専門的知識や実務能力を修得できる継続教育、再教育の提供が求められた。

 中央教育審議会は2002年8月、「大学院における高度専門職業人養成について」の答申で、その目的にかなった専門職大学院設置の指針を明らかにした。

 明治大学は、果敢かつタイミングよく04年4月に公共政策大学院ガバナンス研究科(当初は非専門職大学院)、ならびにビジネススクールのグローバル・ビジネス研究科を立ち上げ、翌年4月には会計専門職研究科を設置した。爾来、各研究科とも幸いにして、社会からの高い評価を受けることとなった。もちろん、明治大学の歴史的英断がきっかけだが、その後のスムーズな展開は、大学全体の理解とともに、各研究科の教授陣と、事務職スタッフの献身的な努力にあったことは確かである。

 このような多大な期待のもと船出した専門職大学院では、現実の社会やビジネスでの問題把握能力、課題解決能力を育成する必要があり、外部の第一線で活躍する講師陣も配し、多様でしかも変化に対してフレキシブルなカリキュラムが用意されている。

 本大学院が従来の大学院教育と異なるのは、外部評価を常に受ける点にある。ひとつは、本大学院の門戸を叩く人からの評価で、もうひとつは、教育研究活動等の状況についての、国の認証を受けた第三者評価機関による定期的な評価である。社会からの評価は志願者の多寡で示され、評価機関からの評価結果には大学が自ら改善しなければならない。

 すなわち、そこでは、とかく内向きであった旧来の手法や制度では対応しきれない数多くの難題が待ち受けているのである。新たな船出をした明治大学にとって、そのスピーディーな解決は終わりのないチャレンジでもある。



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