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明治大学広報
第613号(2009年11月1日発行)
本棚
「世界俳句2O09─第5号─」
夏石 番矢(乾 昌幸)・世界俳句協会 編(七月堂、1600円)
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 私たちの美意識と感性、そして、ことばは風土を基盤として洗練されてきた。それは、たとえば、伊原昭の『平安朝文学の色相』を見るだけで明らかであるように思う。

 では、メディアが発達し、グローバル化が進む現代において、私たちのことばの基盤とは何なのだろうか。

 本書には、日米をはじめ、クロアチア、インド、モンゴルなどなど、実に多様な国籍の人々の句が、作者の母語および英語と日本語で掲載されている。風土と不可分である「季節感」を核として成立する俳句が、グローバル化の時代におけることばの可能性の探求を進めている、そんな印象をうける。

 英語の流通によって、他のことばが衰退するのではないか、という危惧の念がもたれている。だが、私は、逆に、〈国際標準語〉としての英語が風土から遊離し、平板になり創造性を失うのではないかと考える。結論を出すのはまだはやいようだ。

 「ハイク」によって、どこまで、感性や思考の共有ができるだろうか。その問いは、現代におけることばとコミュニケーションの可能性を探ることに他ならないだろう。

 鈴木哲也・法学部准教授(編者は法学部教授)



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