感涙にむせぶ選手たちの中、山本はひとり笑顔だった。昨年度の純飛躍団体戦。4年ぶりの優勝にチームは喜びを爆発させた。しかし最高ポイントをマークし、優勝の立役者ともいえる山本は、泣くことができなかった。 前日に行われた純飛躍個人戦。1本目で2位につけ、王座は射程圏内だった。しかし先輩でもある遠藤友晃(2009年政経卒、現・雪印乳業)が90mのビックジャンプで優勝をさらった。結果3位。自身初の個人表彰台で、表情を曇らせたままメダルを受け取った。 「優勝しか狙ってなかった。団体戦こそ勝てたが、やはり自分の気持ちが大きかったから。泣けなかった」。次こそ二冠─。その思いが山本を支えた。 学生生活最後の年、「人生を変えてくれた明治に何か残したい」との思いも芽生えた。恩返し、それはやはり優勝という形で。実業団入りも決まった。それに恥じない成績を残すべく例年以上に自らを追い込む。シーズンインの出来は、ジャンプを始めてから一番良いという。「やっぱり明治がナンバーワンでしょ。優勝、しますよ」。 昨年度の分まで喜び、泣くつもりだ。 (やまもと・けんた 営4 北海道余市高出、175cm・65kg) 明大スポーツWEB 前のページに戻る