本書は、平成１７年に成立した新会社法に関する体系書である。本書の著者は、明治大学法科大学院で商法・会社法の分野の科目を担当されており、本書は法科大学院生のための参考書として執筆されている。

　本書の内容は、会社法に関する体系的叙述と解釈論を踏まえながら、上場会社の法規制、企業会計法、企業倒産法、および、比較会社法にまで及んでいる。類書に比べてその内容の詳細さは随一であり、研究用の参考資料としても有意義である。しかしながら他方で、その文章は平易であり、また、基本的な概念の説明や太字や図表の使用など、難解といわれる新会社法を分かりやすく理解させるための配慮が随所に見られる。さらに、事項索引、判例索引、法令（条文）索引が充実しており、大変便利である。とくに法令索引については、法務省令や他の法令からも検索することが可能である。

　このように、本書は圧倒的な情報量を誇りながらも、それを苦と感じさせない作りとなっており、一歩進んだ会社法の学習を志す者にとって有用有益な文献である。

　根本伸一・法学部准教授（著者は法科大学院教授）



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