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明治大学広報
第618号(2010年4月1日発行)
本棚
「抄訳 神の生命(いのち) 霊的進化の哲学」
シュリー・オーロビンド 著、山口 泰司 訳(文化書房博文社、
5600円)
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 本書は近代インド思想の金字塔と唱われて久しく出現が待ち望まれていたオーロビンドの幻の名著“The Life Devine”の翻訳である。

 梵我一如の正統インド思想と近代科学に立脚した西洋進化論とを批判的に摂取して提出された「霊的進化の哲学」は、神の物質的世界の顕現と降下のプロセス「インボリューション」と、物質の神的世界への目覚めと上昇のプロセス「エヴォリューション」とからなる壮大無類な形而上学として、東西のいかなる思想にも例を見ない高みから、観念論や唯物論の哲学はもとより、超越神論や汎神論の宗教をも等しく突き抜けたところで、人類の思想の真の成熟を静かに待ち受けているかにさえ思われる。

 インドでは詩人にして革命家、哲人にして聖者と仰がれているオーロビンドの思想が、我が国では、仏教研究の伝統や、ガーンディやタゴールの名の影に隠れて不当に却閑されてきた感があるが、その志と見事な訳文を得て、やっと正当な評価に近づいたことを、その研究・翻訳の苦労をつぶさに知る友人の一人として、心から歓びたい。

 大崎博・文学部講師(訳者は文学部教授)



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