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明治大学広報
第619号(2010年5月1日発行)
論壇
国際化の推進はなぜ必要か
経営学部長 安部 悦生
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 現在、明治大学では努力の甲斐もあってグローバル30に選ばれるなど、全学的に国際化を推進する雰囲気があります。しかし、日本国内の全般的風潮は「内向き思考」などと揶揄されるように、海外へ雄飛しようとの気風が減退しているように見受けられます。たしかに、韓国からアメリカへの留学生が7万人を数えるのに対し、日本のそれは減少を続け、4万人を下回る状況になっています。中国は人口規模の違いもありますが、アメリカへの留学生は10万人を超え、さらにエラスムス・ムンドゥスとよばれるEUの奨学生では、中国が100人を超えるのに対し、日本はわずか4人に過ぎません。経営学部はこうした状況を改善しようと、積極的な海外との交流を目指しています。そのためにいくつかの方策を実行し、さらに新しい試みを企画しています。

 第一に、今まで「若干名」としてきた留学生入試の定員を、30人と明記し、正規留学生を増やすこと。また交換留学生を増大させるために、全学における協定校増大に加えて、学部独自の協定校も徐々に拡大してきています。さらに、海外への送り出しのために、在学生のTOEICやTOEFLの受験を勧める一方、IBP(International Business Prigram)と呼ばれる夏期・春期の短期研修プログラムを推進してきました。

 第二に、協定校との教員・院生レベルによる学術交流の活性化、また教員自身の国際化が図られるべきでしょう。3年に一度くらいは、国際学会での報告、または国際ジャーナルへの投稿が求められるでしょうし、そのための研究条件の整備が急がれます。かつ、大学院レベルでのダブル・ディグリーの実現、大学院生の海外留学の促進など、研究レベルでの国際化も必須です。

 第三に、国際的視野を持つ学生を養成するために、国際経営コースひいては国際経営学科などが構想されるべきでしょう。「英語による授業」を拡大し、40単位くらいの英語授業を設置することは国際化のためには最低条件と思われます。また、語学下手の日本人としては、TOEICやTOEFLで高得点をあげることが海外活動での必要条件であり、そのための特訓コースも必要です。韓国の高麗大学経営学部では、TOEICで800点を取らないと卒業できないと聞いています。

 日本の今後のビジョンとして、「富国・有徳の国際国家日本」という方向以外に、確たるものが見当たらない状況では、国際化が日本にとっての死活的課題となっていることは明らかです。「内向き思考」を打ち破らなければなりません。



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