「おれには尾川先輩（堅一、２０１０年政経卒）のようなカリスマ性はないよ」。電話越しにおどけてみせた加茂逸平主将。今季明大拳法部を東日本リーグ準優勝に導いた。

　予想外の主将就任で「不安しかなかった」今春。昨年『独裁体制』を信条に見事なキャプテンシーを発揮した尾川前主将と自分の違いを認め、積極的に同期・後輩に意見を求めた。しかし活動が本格化するにつれ、前主将と比べる周囲から『指導が甘いのでは？』と危惧する声が積もっていった。「もっと厳しくしたほうがいいのかもしれない」と加茂主将は悩んだ。

　そんな中迎えた、今季初戦の東日本リーグ戦。明大は下馬評を覆し準優勝に輝いた。重圧から解放された加茂主将は「これまでやってきたことが間違いではなかった」と安堵の表情を浮かべた。一ノ宮孝監督からは「お前を主将にしてよかった」と言われたという。

　「やはり同期や３年生の存在は大きいよ。自分ひとりで部を支えることはできない」。おれは今までの主将とは違う。おれにはおれのやり方がある。後期へ向けて、加茂主将にもう、迷いはない。

　（かも・いっぺい　政経４　初芝高等学校出　１６９センチ　６０キロ）

　文・写真：社川拓人（情コミ２）



明治大学体育会拳法部

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