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明治大学広報
第579号(2007年1月1日発行)
2007新春座談会 校友・父母と大学連携
2.明治大学へ期待するもの
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(「1.先駆けの校友会・父母会」から続く)

親の経済負担

○内田 大学は、地方から入学すると学費や下宿代、仕送りなど年間で相当のお金がかかります。教育もお金がないと充分に受けられない時代です。結果は不平等でいいんですが、せめてスタートラインだけは一緒にしてあげたい。
 ある父母会での話ですが、親子や兄弟など複数明治に行く家庭が多いんです。親が明治出身だと、迷ったときに「明治はいいぞ」と勧められます。親・兄弟で入学したら授業料を何割か減額するなどの経済支援の制度があると、親の負担が軽くなり、「明治へ行けよ」と勧められます。

○川井 うちも今、3人が理系の大学に通い、しかも1人は生田でひとり暮らしですので経済的な問題は切実です。

○松瀬 明治大学は奨学金が充実しているほうですが、それでも学生数が多いものですから。今後も奨学金はさらに充実させるようにします。それから大学とクレジットカード会社が提携して発行する「明治大学カード」は、校友・ご父母・教職員が持って日常生活でカード決済をすると、利用額の約0・5%がカード会社から大学に還元されており、それを奨学金に活用しています。

○舩曵 私も地方出身ですから、経済的なことはよくわかります。地元の大学でなく、東京の明治大学まで行かせるには相当な経済的犠牲を払っている。明治大学も、地方出身者が学びやすい大学、それにはどういう制度を整えたらいいかを議論したらどうかと思います。これからはニーズも多様化してきますから、将来、明治大学はどういう方向を目指し、学生にどういうサービスを提供していくかなど、いくつかの基本的なコンセンサスを法人と教学でしっかりしたものをつくっていただきたい。それが明確に示されれば、良い学生が地方からたくさん集まってくるのではないか。また、国際的にそれが有名になれば外国からの留学生もやってくる。大学時代に外国の友人たちと一緒に明治大学で学ぶことができるというのは、大学のひとつの質を示すことにもなると思います。

大切な個性のアピール
○内田 最終的に学校教育というのは、社会に出たときに通用する人間をつくるのが目的だと思います。それは何かと言うと、個人の魅力だと思うんです。仕事でも、魅力がない人とは名刺だけは交換しても続きませんよね。学歴に関係なく、魅力のある人っていますよね。そういった「魅力ある人づくり」を手がけてほしい。

○舩曵 これは教育の原点じゃないでしょうか。就職でも、最後の決め手になるのは人間としての魅力ですね。

○川井 先生方への要望として、この先生ならついていこうと思えるような魅力的な先生であってほしい。学生はそれで伸びていくと思います。それが保護者の一番の願いです。
 明治大学にはこういう先生がいます、こういうことが専門で学べますということも、もっと多くの先生を広く教えてほしいと思います。その先生がいるから行ってみたいというような。

○松瀬 大学の魅力も必要ですけど、教員自身の魅力も受験生をひきつけますね。

○舩曵 確かに明治大学は伝統がありますが、その上にあぐらをかいていると、国際競争の中で落とされていく時代です。教員の質も競争社会にさらされているということを教員自身が認識する必要がありますね。

○内田 自分の子どもを見て思うのですが、勉強中心だった高校時代よりも、自由に過ごしている今のほうが、人間として魅力あるような気もします。大学時代の仲間とは一生付き合うんですね。大学は社会との接点が強烈に生まれるところで、大人としても認められる。子どもたちの自主性にまかせたい気持ちもありますし、その辺が複雑です。大学に要望したいこともあるし、ほっておいてもいいという気持ちもある。

○川井 親としては、自立してもらえれば、いろいろなことをやればいいと思います。

○森山 他大学では授業の出席が厳しいところがけっこうありました。明治はその点かなり自主性に任されていました。自分で責任をもつこと。それは自分を磨く上でもよかったと思います。

○松瀬 バランスが大事ですよね。学年を重ねるにつれ、教室以外でも教員と接触するようになる。理工系はそうですが、文系でも4年になると共同作業があるようです。大学院になりますと四六時中院生とは接触して共同で研究しています。

○舩曵 いろんな知人から頼まれて就職のお世話をしていますが、人間をどこで評価するかというと、最後は面接です。面接試験のときは紹介者や出身学校などは書かないで行うという企業が増えています。面接は地でいけばいいんだなんて甘い考えでは、これは大変厳しい。5千人とか1万人の中で採用されるには、いかに自分の個性を短時間のうちにアピールできるかが大事です。
 それは、学生時代、どれだけたくさんの本を読んだか。これが知らないうちに人間性を形成し、教養がにじみでてくると思います。私は明治大学に、在学中に読書指導をやってもらいたい。大学はこれから、個性のある豊かな人間をつくり上げる、国際的に通用する人間をつくるということが、大切です。社会に出てからは偏差値ではない。偏差値で取引する人はいません。接している中で、その人の魅力で取引が成立したりします。それには、学生時代の読書量が非常に大事だと思います。

○森山 本を読んでいる人と読んでない人とでは想像力が違いますね。

○松瀬 学生時代は、本を読むこと、人と話すこと、ものを書いてみること、この3つが基本的な教養として必要です。本を読めば知識は広がるし、人と話せば自分の論理が正しいかどうか人の反応でわかります。書いてみると、正確かどうかがわかります。

問われる大学の質
○松瀬 国際化についてはいかがですか。

○舩曵
 これからの学生は外国に出ていくチャンスがあるから、自分の好みの大学がなければ外国の大学に行くような時代も来るでしょう。同時に、日本の大学も外国から留学生をどんどん受け入れるような時代も来るはずです。まさに大学の質が問われる時代になってきている。大学はその質に応える体制を整備する必要がある。
 学生もどの分野に進んでも、国際的な素養は必要です。それには2つあると思います。語学と世界史です。
 語学教育を徹底的にする。卒業するまでに語学力が非常につくということも特色にしてはどうか。今まで日本の大学というのは欧米志向だったと思いますが、21世紀を考えるとアジア、特に中国、韓国の言葉を身につけていれば、ビジネスチャンスも広がってくるし、就職なども有利になるのではないでしょうか。
 そして世界史。これは大学に入ってからでもしっかり勉強すべきだと思います。言葉が通じ、相手の国のことをよく知っていれば、向こうから信頼もされるし、ビジネスチャンスも増えてくるでしょう。
 いろんな社会をよく知ること。言葉がしゃべれること。これはマストですね。英語はもはや共通語で、外国語と考えないほうがいいでしょう。

○内田 子どもの受験で大学を選ぶ基準が偏差値くらいしかない。選択肢が少なすぎると思うのです。
 どこの大学でも目玉とか売りがあってもいいと思います。明治大学だったら、語学が身につくとか、法律が強いとか、親もいろんな特色を知れば、子どもから進路について相談を受けたとき、子どもの志望に即した話ができますよね。偏差値は学校の先生と子どもしかわからなくて、親としての助言ができない。各大学の特色がわかれば、親も助言できることが多くなると思う。明治も個性があって、「そういう目標があるなら明治に行けよ」というような、特色を持ってもらいたいですね。

○舩曵 社会のニーズが変わってきていて、偏差値だけで学生を選ぶような企業は滅んでいくと思います。大学だけでなく、学生自身が、偏差値以外の何が売りであるのか、自分の売りをつくっていかなければいけない。それを大学も教育の中で考え、伸ばしていくことも必要かもしれません。

○松瀬 そういう魅力のある大学にしていけば、受験生も関心を持ち、ますます受験生が増えていくんですね。

(「3.校友会と父母会の連携を」に続く)


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◇校 友
   舩曵 寛眞
   (株式会社日本航空名誉顧問)
   森山 浩行
   (前大阪府議会議員)
 ◇父 母
   内田 光一
   (静岡県地区父母会長)
   川井 惠子
   (埼玉県西部地区父母会)
 ◇聞き手
   松瀬 貢規
   (学務担当常勤理事、
    明治大学広報編集委員長)
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