Master of Public Policy, MPP

公共政策のプロフェッショナルを育成する公共政策大学院ガバナンス研究科

【公共政策大学院】研究科長あいさつ

多様で複雑な現代社会の課題解決に向けて~「コロナ後」の社会を共に創る~

公共政策大学院ガバナンス研究科長 長畑誠 公共政策大学院ガバナンス研究科長 長畑誠

現代社会に生きる私たちの暮らしは、「多様性」と「複雑性」という二つの特徴を持っています。例えば皆さんの近所には、家族構成も職業も趣味嗜好もまったく異なる多様な人たちが住んでいるのではないでしょうか。夫婦と子どもという核家族だけでなく、若い単身世帯もあれば、高齢者の夫婦だけ、或は独居高齢者の世帯もあるでしょう。各世帯の生計手段はバラバラです。出身もまちまちで、場所によっては外国籍の住民も珍しくないと思います。そして、さまざまな障がいを持つ人や、性的少数者の人も暮らしています。こうした「多様性」は地域社会だけでなく、学校や職場においても普通になってきています。


一方の「複雑性」。あなたには年老いた独り暮らしの親がいて、介護保険を使って在宅や通所のサービスを受けるのか、施設に入ってもらうのか、或は自宅で同居するのか、悩んでいるかもしれません。そんなあなたには高校生と小学生の子どもがいて、「いじめ」や「不登校」の問題に向き合っているかもしれません。またあなた自身も、職場で上司や部下との関係や、残業の多い日常に困りながら、転職を考えているかもしれません。そして新型コロナウィルス感染症が、あなたの家族すべてに降りかかってきました。


一人の人が直面する「困りごと」は、社会における多様な諸要素が複合的に組み合わさって生じています。また新型コロナウィルス感染症の拡大で痛感させられたのは、これが単なる医療・公衆衛生と経済の問題に留まらず、私たちの社会や暮らしのあり方そのものを問い直している、ということです。こうした点を公共政策の側面から見ると、少数の専門家やリーダーによるトップダウンの政策で物事を完全に解決することは不可能であり、課題の当事者を含む多種多様な関係者たちが協働して考え、計画し、決定し、行動していくことが必要、となります。


私たち明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科は、「ガバナンス」を「協治」と捉え、多様な関係者による協働を通した政策・施策の形成と実施・評価を重視しています。そんな私たちの「学び舎」もまた、「多様な人材が出会い、学びあう場」となっています。政治学・行政学・社会学等の学問的修養を積んだ教員とともに、行政や市民社会の現場における実務経験の豊富な教員が授業を担当しています。学生さんたちもまた、年齢も職業も経験も、国籍もまちまちで、多様なバックグラウンドをもっています。


多様な人々が出会い、それぞれの経験と最新の学問的知見とを繋ぎ、「コロナ後」の現代社会の諸課題を乗り越えるための新しい知を創り出す。そうした刺激的な場へ、多くの方々に参加していただきたいと願っております。