Go Forward

国際日本学部

【国際日本学部】シンポジウム「メビウス∞描線がつなぐヨーロッパと日本」報告

2009年05月11日
明治大学

会場の様子会場の様子

パネルディスカッションをする様子パネルディスカッションをする様子

ゲストの浦沢直樹氏と夏目房之介氏ゲストの浦沢直樹氏と夏目房之介氏

去る5月9日(土)午後1時半から、明治大学国際日本学部主催のシンポジウム「メビウス ∞ 描線がつなぐヨーロッパと日本」(出演:メビウス・浦沢直樹・夏目房之介 司会:藤本由香里)が、明治大学駿河台校舎アカデミーホールで行われました。

1050人のホールに入りきれないほどの来場者だったため、数十人の方にはビデオルームでの視聴をお願いしなければならないほどの盛況で、千人以上の観客が固唾を呑んでパフォーマンスに見入り、ゲストとのやり取りに一心に聞き入るなか、シンポジウムは大成功のうちに幕を閉じました。

まず、国際日本学部の蟹瀬学部長による挨拶。続いてビデオクリップによるメビウス氏の主な作品と経歴の紹介。これを踏まえて第一部では、司会の藤本由香里准教授が、世界のマンガ文化とのかかわりの中で、作品の流れを追いながらメビウス氏に質問。フランス人であるメビウス氏とアメリカ文化との関係や、「メビウス」の名前を決定的にした伝説的なSFマンガ誌『メタル・ユルラン』の創刊と、世界的な規模で起きたカウンターカルチャーとしての若者文化の高まりとの関係、などが話題に。

メインとなる第二部では、フランスに行くたびにメビウスの作品を買って来るというほどのファンだという浦沢直樹氏が、自らのコレクションを披露しながら、「メビウスは自分だ」と思ったという最初の出会いなどを熱く語り、続いて夏目房之介氏が、手塚治虫の「メビウス線」の存在や、大友克洋を経由しての吉田秋生・鳥山明・岸本斉史への影響など、「日本マンガにおけるメビウス遺伝子」を具体的に指摘。それを受けてメビウス氏が手塚治虫や大友克洋などを例に引きつつ「自分にとっての日本マンガ」について熱心に語った。

そして後半は、用意されたスケッチブックに浦沢氏・夏目氏・メビウス氏がお互いに絵を描きながらの「マンガによるライブ・パフォーマンス・セッション」へ。真っ白な紙の上にするすると線が伸びて目の前で絵が現出していく様子に、観客は夢中で見入っていました。

まさに「描線がつなぐヨーロッパと日本」。これまで一般的には意識されてこなかった日本マンガとヨーロッパのマンガの相互の影響関係が明らかとなるシンポジウムとなりました。

シンポジウムの最後には、当日、メビウスに敬意を表して来場した多数のマンガ家の方々の中から、永井豪・谷口ジロー・荒木飛呂彦の各氏が挨拶。それぞれのメビウス体験を語り、それを受けてのメビウス氏の締めの言葉に、会場は大きな拍手に包まれました。

なお、このシンポジウムの模様は、5月12日の日本テレビ『NEWS ZERO』で放映された他、5月20日の読売新聞でメビウス氏のインタビューとともに紹介され、7月にはNHKでも放映予定です。また、6月末発売の『ユリイカ』7月号の総特集に収録される予定です。

<プログラム>
13:30 開会の辞 (国際日本学部長 蟹瀬 誠一)
13:35 シンポジウム
出演:メビウス×浦沢直樹+夏目房之介
司会:藤本由香里
16:00 開会の辞 (国際日本学部長 蟹瀬 誠一)