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有志シャプラニールの思い出

2024年12月09日

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本校の卒業生で立教大学異文化コミュニケーション学部准教授を務める日下部尚徳さんが今年の紫紺祭を訪れた際に、有志シャプラニールについて寄稿してくれました。明治高校が猿楽町校舎で男子校だったころに、有志シャプラニールが立ち上げられた貴重な記録です。明治高校で大切にされてきた奉仕の精神や国際貢献への志しを受け継いでいきたいという日下部さんの想いがつづられています。

【日下部尚徳さんの経歴】
1999年、明治大学付属明治高等学校卒業。立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。東京外国語大学准教授等を経て2020年4月より現職。博士(人間科学)。専門は南アジア地域研究、国際協力論、開発社会学。バングラデシュを主なフィールドとし、貧困や気候変動、児童労働、難民問題などのテーマで調査・研究を行う。

1998年紫紺祭(猿楽町校舎)における有志シャプラニールの活動

有志シャプラニールは、国際協力をテーマにバングラデシュのフェアトレード商品の販売を行う、その名のとおり有志の集まりです。

この活動は25年以上前、高校3年生の部活動の幹部学年を終えたメンバーが集まり、紫紺祭で始まりました。当初は卒業前の一回限りのつもりでしたが、松本麻奈美先生がその後新たなメンバーを集め、活動を継続してくださいました。

今年久しぶりに紫紺祭を訪れて改めて活動を拝見しましたが、その盛況ぶりに驚きました。扱う商品は、「シャプラニール」「第3世界ショップ」「ピープルツリー」といった国際協力団体の商品から、東北支援の品々まで及んでいます。私たちの頃と比べて、取り扱う範囲が大きく広がっていました。

また、生徒たちが「この手工芸品を買うことで、バングラデシュの女性たちの自立を支援できるんです」と話す姿に、活動に対する理解の深まりを感じました。私たちの頃は単純に「途上国を助ける」という発想でしたが、今の生徒たちは「共生社会とは何か」を等身大で考えているようでした。

紫紺祭でのこの活動を通じて多くの人々が、アジアの文化や現状、そして日本国内で厳しい状況に置かれた人々に思いをはせる機会を得ていると思います。グローバル化というと欧米に目が向きがちですが、有志シャプラニールの展示をきっかけにアジアの国々を身近に感じられるのではないでしょうか。

最後に、この活動を四半世紀以上にわたって支え続けてくださった松本麻奈美先生、そして明治高校の先生方に心からの感謝を申し上げます。当時、手弁当で始めた活動ですが、表裏で支え、こうしたチャレンジを励ましてくれる先生方の存在は昔も今も本当にありがたいものです。

今日の激動する日本社会において、有志シャプラニールのように社会の課題に目を向け、自らアクションを起こす活動はますます重要性を増しているといえます。少子高齢化や経済の停滞、国際情勢の不安定化など、日本は多くの課題に直面しています。このような時代だからこそ、逆説的ではありますが、外に目を向けることが重要です。中高生のうちから国際的な視野を持ち、課題解決の主人公になれる有志シャプラニールは、世界に羽ばたく明治高校を象徴する存在だと思います。

1998年紫紺祭(猿楽町校舎)での有志シャプラニールの展示

1998年紫紺祭(猿楽町校舎)の紫紺祭での有志シャプラニールの展示

2024年紫紺祭(調布校舎)でのJRC&有志シャプラニールの展示

2024年紫紺祭(調布校舎)でのJRC&有志シャプラニールの展示

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