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総明会法曹部会 法律事務所インターンシップ

2024年03月25日

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  • 教育・進路
2月下旬から3月上旬にかけて、総明会(同窓会)法曹部会による高校3年生対象の法律事務所インターンシップが実施されました。これまで法曹入門講座や裁判傍聴などに参加してきた3名の生徒が、先輩弁護士の指導の下、法律事務所でのインターンシップを経験しました。取材に訪れた日に酒井法律事務所でインターンシップに参加していた溝江さん(高3)と桜井さん(高3)に、その様子や二人が法律に関心を持ったきっかけなどを聞きました。

Q:法律事務所インターンシップはどんな様子でしたか。


桜井さん(以下、S):

 先輩方の法律事務所への訪問、裁判資料を読ませていただいたうえでの裁判傍聴、依頼人との面談への同席、過去の裁判例を用いた事実認定案のレポート提出など、様々な経験をさせていただきました。

 

溝江さん(以下、M):

 桜井さんと日程が少し異なったので、裁判傍聴はほとんどできなかったのですが、私は桜井さんよりも多くの先輩弁護士の事務所を訪問させてもらいました。民事、刑事以外にも、企業法務を扱う事務所なども訪問でき、様々な弁護士業務について学ぶことができました。

 また企業法務でも、大企業では下請け業者との関係性、同族企業のような中小企業では事業継承、国際的な企業では他国の法律との整合性など、企業によって扱う法務にも幅があることも知りました。これまでの高大連携教育を超えて、社会で活躍する法曹の現実に少し触れられたように思います。

 

Q:その他にも印象に残った場面などがあれば教えてください。

S:

 私は先輩弁護士が弁護する裁判を傍聴させてもらったのですが、その裁判をただ傍聴席で聞いていたら被告人に対して批判的な感情になりそうでしたが、事前に被告人と被害者双方の供述調書などを読むと検察側の主張に対して、弁護側がどこを認めて、どこを否認し争っているかなどの争点が客観的・俯瞰的に見えてきました。裁判が決して勧善懲悪な一面的なものではないと実感することができました。

 M:

 私は事実認定に関連した資料の多さにびっくりしました。インターンシップの課題として、実際の訴訟を事例にして事実認定のレポートを作成したのですが、真っ向から意見が対立している事件だったので、双方の主張からどちらが正しい事実なのかを認定するのがとても難しかったです。間接的な証拠などから、どれが一般的にあり得るか、整理して判断することが大切で、膨大な資料をまとめる力が必要とされることがわかりました。

 S:

 私も同じ事実認定のレポートに取り組みましたが、準備書面を読み進めても、相手の主張を否定してから主張することが多く、頭の中で双方の論理が混乱してしまうことが多々ありました。ただ、何日か進めていきながら、被告側の最終準備書面を読んでから前の書面に遡ることで、全体が整理しやすくなることなどに気が付きました。ただ、溝江さんも言った通り証拠と証拠をどうつないでいくかが難しく、人生経験がもっと必要だと感じました。

 

Q:そもそもお二人はなぜ法律に興味を持ったのでしょうか。

S:

 直接的ではないですが、中学1年生のときに親が最高裁の傍聴に連れて行ってくれて、その荘厳な雰囲気に圧倒されたのを覚えています。具体的に考えるきっかけになったのは、高校1年生の時に高大連携サマーセミナーで法学部が行う模擬裁判に参加したことです。あの時、私は検察官役になりましたが、何もできない悔しさを感じるとともに、人の重大な局面に関わる法曹界の重要性に興味がわきました。その後、高校2年生の時に試しに法学検定ベーシックコースを受講してみたところ「エクセレント合格」を頂き、高校3年生の時にキャリアクエスト講座(裁判傍聴編)に参加して進路志望が明確になりました。

 M:

 実は、中学3年生の終わりの高大連携スプリングセミナーで簿記講座を受講した際には、その面白さから公認会計士などの資格取得も考えていました。しかし、高校2年生の時の高大連携講座で法学部の太田勝造教授の模擬裁判で裁判の面白さに触れて、法曹にも興味を持ち始めました。この時、先生のお世辞かもしれませんが、自分の考えをほめてもらえたことがうれしかったです。高校3年生の夏の高大連携サマーセミナーで、桜井さんも参加した法学部の模擬裁判に参加し、法学部への志望が明確になりました。それまで、法の勉強は「条文の丸覚え」というイメージがあったのですが、これらの体験を通じて、数学のように論理を立てて構成していくところに面白さを感じました。

 

Q:最後に、インターンシップ全体を振り返っての感想を教えてください。

S:

 これまでは法曹の仕事をイメージだけでとらえていて、わからないことや不安感の方が先に来ていました。今回のインターンで先生から「困ったら相談してね」といった優しい声をかけていただいたりしてとてもありがたかったです。このような素晴らしい機会を与えてくださりありがとうございます。

 M:

 これまでの高大連携プログラムで、自分の進路を法学部に決めることができました。今回のインターンで法曹界の仕事や雰囲気をよりリアルに感じることができ、大学卒業後の将来まで考える材料が手に入りました。

 また、酒井先生に、「試験に受かるだけなら、浅い知識だけでもよいかもしれないが、それでは薄っぺらい。自ら様々な法律家が書いた基本書を読むなどして知識をより深め、自分の頭で考え、より思考を深めようとする姿勢が大事」と教えていただき、これはどのような進路を選ぶにせよ大切な考えだと感銘を受けました。その職業になることを目的とするのではなく、その職業に就いて何をするのか、そのために何をすべきかを考えないといけないと強く思いました。

 今回はこのような素晴らしい機会をいただけたことに感謝しています。そして、明治高校の後輩のみなさんには、明治高校は将来を考える時間や機会に恵まれているので、それを逃さず積極的に人の話を聞いたり、いろいろな場面に参加したりすることが大切だと伝えたいです。

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