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講演会・シンポジウム実施報告

2026年度 第37回「続・続 アメリカはどこへ向かうのか—トランプ外交と中間選挙の行方」

建国250周年を迎えたアメリカの現在と未来を考える

講演会の様子1 講演する杉田弘毅氏講演会の様子2 解説する井田正道教授講演会の様子3 講演を熱心に聴講する大勢の来場者

明治大学社会科学研究所は2026年9月26日、第37回公開講演会「続・続 アメリカはどこへ向かうのか」を開催しました。本講演会は社会科学研究所と明治大学リバティアカデミーとの連携講座として実施され、多くの受講者を迎えて盛況のうちに終了しました。

開会にあたり、社会科学研究所長の井田正道教授(政治経済学部)は、本講演会が2024年の米国大統領選挙直後に実施した「アメリカはどこへ向かうのか」、2025年の「第二次トランプ政権1年を振り返る」に続く第3弾であることを紹介しました。また、本年がアメリカ建国250周年に当たり、11月3日に中間選挙を控える重要な時期であることから、アメリカ政治の現状と今後を考える意義について説明しました。

トランプ時代とアメリカの将来を読み解く
第1部では、共同通信客員論説委員であり、政治経済学部特任教授の杉田弘毅氏が「アメリカはどこへ向かうのか」と題して講演を行いました。
講演では、アメリカの地理的条件や移民国家としての特質、宗教の影響力、科学技術への信頼といった「アメリカの特異性」を出発点として、南北戦争以降の政治史を振り返りました。そのうえで、トランプ現象を生み出した社会的背景や支持層の特徴を分析し、格差拡大、文化的対立、政治的不信といった今日のアメリカ社会が抱える課題について解説しました。
また、2026年中間選挙の争点として、イラン情勢、インフレ、移民問題などを取り上げるとともに、選挙結果が今後のアメリカ政治や国際秩序に与える影響について考察しました。さらに、米中競争や台湾問題、2028年大統領選挙の見通しなどを論じながら、「分断と再生を繰り返しながら前進することこそがアメリカという国家の本質である」との見解を示しました。

中間選挙の最新情勢を解説
第2部では、井田正道教授が「中間選挙の状況」と題し、最新の世論調査や選挙データを用いながら中間選挙の動向について解説しました。
井田教授は、ドナルド・トランプ大統領の支持率推移や上院・下院選挙の情勢を紹介し、特にテキサス州をはじめとする激戦州の結果が今後の米国政治に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘しました。また、中間選挙では大統領選挙よりも投票率が低下する傾向があり、とりわけ若年層の投票行動が選挙結果を左右する重要な要素になるとの分析を示しました。

台湾問題から中東情勢まで活発な質疑応答
杉田氏への質疑応答では、参加者から台湾有事と米中関係、2028年大統領選挙の展望、アメリカとイスラエルの関係などについて質問が寄せられました。
台湾問題について杉田氏は、中国が軍事力による直接侵攻だけでなく、経済的・政治的影響力を通じて台湾との一体化を進めようとしている可能性に言及し、アメリカの台湾支援のあり方や日本への影響について見解を述べました。
また、2028年大統領選挙については、共和党ではJ.D.バンス副大統領、民主党ではカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏などの名前が取り沙汰されているものの、今後の政治情勢によって大きく変化する可能性があると説明しました。
さらに、アメリカとイスラエルの関係については、ホロコーストの歴史的記憶や米国内のユダヤ系ロビーの存在などを背景として、トランプ政権後においても両国の関係は変質することなく継続する可能性が高いとの見解が示されました。

現代アメリカを多角的に考える機会に
建国250周年を迎えたアメリカは、政治的分断の深まり、国際秩序の変化、米中競争の激化など、多くの課題に直面しています。本講演会は、長年にわたりアメリカ外交を取材してきた杉田氏の視点と、政治学・投票行動論を専門とする井田教授の分析を通じて、現代アメリカを多角的に考察する機会となりました。

社会科学研究所では今後も、公開講演会やシンポジウムを通じて研究成果や学術的知見を広く社会へ発信し、本学の知の還元に取り組んでまいります。