研究紹介

位相的結晶理論、量子ウォーク

[コンピュータのネットワーク] [原子間の共有結合をボンド(線分)で表す]

自然や社会の中に見られる「バラバラなものをつないでいる」、いわゆるネットワークのモデルを考え、それを数理的に研究しています。自然のさまざまな物質に潜む美しさを数学的に解析してその謎を解き明かす、物質デザインが研究テーマの一つです。解析の手法には、代数的位相幾何学のような純粋数学を用います。研究成果として、ダイヤモンドの結晶構造を解析し、きわめてよく似た構造を持つ「ダイヤモンドの双子」の存在を数学的に証明しました。これが物質として人工的に合成できれば、新素材として応用できる可能性があります。現在、物質科学の研究者が合成に取り組んでいます。結晶デザインの数理的な研究から、新しい材料がつくられる可能性もあるのです。これらの研究は、幾何学、解析学、数論、確率論、グラフ理論など、数学のさまざまな分野が渾然一体となっていて、とても魅力的です。また、数学には自己運動、すなわち数学それ自体の中で動機を得て深く掘り下げていく力があります。大学では、高校までの学習では得られない数学の魅力に出会うことができます。

砂田 利一 教授
専門分野:離散幾何
解析学、大域解析学

偏微分方程式とパターン形成

[欠陥から生じるスパイラル波のシミュレーション] [形・模様が自動的にできあがる仕組みをモデリングとシミュレーションで解明]

たとえばパンダやシマウマといった動物の模様(パターン)はどのように形成されるのでしょうか?模様ができるメカニズムに数学はまったく関係ないように見えますが、実は深く関係しています。縞模様や斑点模様といった動物の模様をはじめ、世の中で起こるあらゆる現象の解明に「偏微分方程式」を用いて挑んでいます。その一例として、心室細動のメカニズムの研究があります。心室細動とは、心臓の心室が小刻みに震え、脳や体に血液を送ることが出来ない状態。このとき心臓内ではスパイラル・リエントリと呼ばれる渦巻型のスパイラル波が発生しています。この欠陥形状とスパイラル波について数学として解析し見通しを立てる一方、パターン形成をシミュレーションして解析するという、異なったアプローチで研究をしています。数学として現象を捉えることで、医学とは異なる視点からメカニズムを解明する事が可能です。まだ実現していませんが、今後医学系研究者との連携によって、心室細動の新しい治療法の開発や技術が得られる可能性があります。

二宮 広和 教授
専門分野:非線形偏微分方程式論

上山 大信 教授
専門分野:現象シミュレーション解析

ベイズ統計と自己組織化

[津波のコンピュータ解析] [ミドリムシの生物対流]

統計学の一つである「ベイズ統計」を使って計測や実験データを解析し、数式化(モデリング)することで、「これまでに何が起きたのか」「隠れている情報は何か」「将来何が起きるのか」を明らかにする研究に取り組んでいます。これまでに、津波データからは誤差のある海底地形の補正、細胞のイメージングデータからは細胞膜の固さの推定、地盤沈下のデータからは将来の沈下予測、為替時系列からは時間とともに変動する市場現象の推定を行いました。また、新たな試みとして、従来対象としていなかった分野との共同研究も考えています。現在は、ミドリムシやしょうのう船などの相互作用する集団に現れる自発的な秩序形成、すなわち「自己組織化」に着目し、集団が作る秩序構造のデータをベイズ統計により解析することで、相互作用などの「見えない本質」を明らかにすることを目指しています。この研究に妥当性が出てくると、渡り鳥のV字飛行や群れを成す魚といった集団で動く生物の行動学にも寄与できる将来的な展望があります。このように現象数理学には他分野と共同して「未発掘の知識」を見つけ出せるという魅力があります。

中村 和幸 准教授
専門分野:統計科学、べイズ統計

末松 信彦 講師
専門分野:自己組織化、物理化学

数理ファイナンスとリスクマネジメント

[Value at Risk のHarell-Davis推定による精度評価:t-分布,99%信頼水準] [金利期間構造シナリオのモンテカルロシミュレーション 2factor-HJMモデル]

金融市場の価格の変動やその原因を分析・予測し、投資リスクを緩和する戦略の立案をするために数理モデルや統計的手法を用いて、資産価格のモデル化とその応用に取り組んでいます。これまで日本株式やグローバル債券の投資モデル、金利・価格変動リスク計測の効率化手法などの研究に取り組んできました。こうした成果は銀行や保険、年金などの資産運用やリスク管理に活用され、企業の資金調達円滑化にも役立っています。近年では、商社も参加して二酸化炭素の排出権取引が始まり、温暖化対策として役立つことが期待されていますが、排出権の価格付けにも金融工学や数理ファイナンスの考え方が利用されています。これらはリアルオプションと呼ばれる新しい応用分野ですが、一般的な経営問題を研究対象に含めながら発展しています。さらに、数理ファイナンスは保険にも深く関係しています。事故や自然災害なども含めて、企業や個人が直面するリスクに立ち向かう保険を設計するために金融と数学の知識が必要です。私たちは、保険会社等で活躍する数理の専門家「アクチュアリー」や「証券アナリスト」の資格取得も支援していきます。

乾 孝治 教授
専門分野:金融工学、数理ファイナンス

松山 直樹 教授
専門分野:数学(確率・統計)、アクチュアリー数理

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