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高1美術「オリジナル・ブックカバーの制作」

2021年07月20日

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 高校1年生の選択科目である美術では、自分の好きな文庫本の表紙を自ら作成して製本し直すという取り組みをここ数年行ってきました。2020年度も生徒たちの力作がたくさん生まれ、図書館前に展示されています。そのうちの5点を、作り手のコメントともにご紹介いたします。
   
榎本くん
作品:東野圭吾(2013)『真夏の方程式』文春文庫(文藝春秋)
私は本が苦手です。だから、映画で見たことがあり、読んでいて情景を想像しやすいこの本を選びました。真夏の海で起きた事件の真実に主人公が近づくにつれ、私自身も不思議な感情を抱きました。本の表紙を考えて描くというのは、その本について深い理解を持っていないと難しいと思ったため、まずはじっくりと読み込んで始めました。


石渡さん
作品:R・F・ヤング,ジャック・フィニイ他(2009)『時の娘』(中村融訳)創元SF文庫(東京創元社)
ロバート・F・ヤングの本を探しているときに、書店でこの短編集と出会いました。時間を題材としたSFの短編が収録されていて、すきま時間にワクワクする感覚を味わえる本です。本の装丁をし、私なりの本への解釈を視覚的に表現できたと感じています。


周さん
作品:一木けい(2020)『1ミリの後悔もない、はずがない』新潮文庫(新潮社)
美しい過去は今の自分を輝かすと同時に苦しめることにもなります。それが不完全であればあるほど、その一瞬は自分の力で生き続けます。そんな今と過去を生きている彼女とそれを取り巻く人々の切なく、力強い物語が心にしみる感動を与える一冊です。この本は私の最も心に残った作品の一つです。そんな大切な一冊を自分の世界と混合し、人生の供としてのより美しい形にしたいという想いを持って制作に臨みました。
 

上野さん
作品:ルーシー・モード・モンゴメリ(2008)『赤毛のアン』(村岡花子訳)新潮文庫(新潮社) 
今まで読んだ本の中で、すぐにブックデザインのイメージが浮かんだのが『赤毛のアン』でした。主人公の女の子アンが繰り広げる希望、友情、愛情溢れる物語です。この本を読むと、持ち前の明るさで困難に立ち向かっていくアンから勇気をもらえ、自分も頑張ろうと前向きな気持ちになります。特にアンの髪の毛の色にこだわりました。
 

髙城くん
作品:本城雅人(2020)『紙の城』講談社文庫(講談社)
『紙の城』は新聞の必要性や深部からウェブへの移行などを描いていて、現代の新聞業界の縮図のようです。作中では安芸と部下達の新聞への熱意に読んでいて心を打たれました。制作してみて難しかったのは、ブックデザインとして一つの完成形がある中で自分なりに『紙の城』を表紙・背表紙・裏表紙だけで表現したことです。元々の構想とは違うものになりましたが、シンプルで自信作です。

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