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高3政治・経済 情報の非対称性

2024年06月18日

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高3政治・経済(文系)の経済分野では「市場の失敗」を取り扱いました。その一例として情報の非対称性の問題があり、これは生徒たちが将来直面する様々な交渉にも付きまとう問題です。

この授業では担当教員が作成した「中古車取引」のロールプレイゲームを体験しました。中古車取引を題材にしたのは、この問題を「レモン市場」として提案したジョージ・アカロフが中古車市場を扱っており、その業績に敬意を表してのものです。

中古車販売店と顧客に分かれて交渉を行うのですが、専門知識を持つ中古車販売店が圧倒的に有利な状況に設定してあります。結果として、交渉結果は販売店有利なものとなり、顧客役となった生徒たちは「騙された」と感じたでしょう。同時に、大きな利益を上げた販売店も、このようなやり方を続けていてはいずれ市場そのものが崩壊してしまうと認識できたと思います。
 ロールプレイゲームの設定は「情報の非対称」に加えて「独占」などの要素も盛り込み、現実離れしたものではありますが、その分、市場の構造が与える影響が明確化されています。模擬交渉の過程を通して、教科書に書かれている理論を体験的に理解していきました。
 顧客役の生徒たちはゲームの中で必死に値引き交渉を行い、中にはルールにはない「借金」をしてでも中古車を購入しようとするものもいました。一方、販売店側の生徒も「セット販売」による割引などの知恵を生み出したりと創意工夫に満ちた交渉が行われました。

情報の問題は奥が深く、かつ、実生活にも応用がしやすい問題です。生徒たちには現実社会では納得のいく交渉をしてほしいですし、また、交渉ゲームをきっかけに経済学に関心を持ち、紹介された参考文献にも手を伸ばしてくれればと思います。

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