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研究科長あいさつ

先端数理科学研究科長 工学博士 荒川 薫

先端数理科学研究科長 工学博士 荒川 薫

 20世紀になって急速に発展した工学、科学技術の革新によって我々は多大な恩恵を受けてきましたが、同時に、温暖化、砂漠化、大気汚染など地球規模での大きな環境変化や、激しく揺れ動く経済の動き、資源の枯渇、高齢化社会など様々な問題に直面せざるを得なくなりました。
 我々を取り巻く、このような社会のシステムは複雑であり、その複雑さは、単に要素の数が多いというだけでなく、それらが複雑に絡み合い、人が関わることでさらに複雑さを増し、問題の解決を難しくしています。これらの複雑現象の解明や問題の解決に向けて、絶え間なく発展進化している数理科学に強い期待が寄せられています。それは、これまで様々な分野で用いられてきた現象を忠実に捉える定量モデルを見据えつつ、現象の本質を見抜き、理解するという抽出モデルを新たに構築する数理科学を実践していくことにあります。
 本学では2007年に明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)を設置し「社会に貢献する数理科学」を展開してきました。また、2008年からはグローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」を推進し、2014年からは文部科学省から認定を受けた「『現象数理学』共同利用・共同研究拠点」として研究活動を継承しています。さらに、2016年からは同省の「私立大学研究ブランディング事業」に採択され、数理科学のうち「モデリングによる現象の解明」を中心とした研究活動を行っています。
 先端数理科学研究科は、数理科学に寄せられる社会からの様々なニーズに応えるため、社会との関わりを重視した現象数理学を実践できる人材を養成するための機関として2011年に誕生しました。
 また、2017年度から新たに二つの専攻が加わりました。すなわち、数学的基盤をもとに複雑な社会現象や生命現象などを数理的に理解し解明する「現象数理学専攻」に加えて、人に物質的豊かさのみならず精神的豊かさをも与え、人の感性や心理を表す数理モデルの構築とそれらを考慮した情報メディアシステム、ヒューマンインタフェースをデザインする「先端メディアサイエンス専攻」、持続可能な社会の実現に向けて、その基盤を支える高度かつ柔軟なネットワークシステムの立案と構築をする「ネットワークデザイン専攻」が設置され、数理科学を軸とした領域横断型の教育研究を行っています。
 本研究科は、高度化・複雑化する社会において、本質を見抜く能力と数理科学技術を身に付け、国際的にも活躍できる有能な人材を育成・輩出できる教育研究拠点として、今後もMIMSとの連携を継続しながら、発展し続けていきます。
 

明治大学大学院