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研究科のルーツ

社会に貢献する数理科学を目指して

先端数理科学研究科長 グローバルCOEプログラム拠点リーダー三村昌泰

 急速に発展した工学,科学技術の革新によって、我々は多大な恩恵を受けると同時に温暖化,砂漠化,大気汚染など環境が大きく変わっただけでなく、経済も激しく揺れ動いています。百年前にはこのような事態を予想することができたでしょうか?

我々を取り巻く社会は、脳,免疫系,インターネット,経済変動,社会の発展など、不確定なゆらぎのもとに、ダイナミックに変動しながら発展していく複雑システムとなっています。これらのシステムがもつ複雑さは、要素の数が非常に多いというだけでなく、要素からいくつかの階層が形成され、それらが複雑に絡み合ってシステム全体を形成しているところにあります。このシステムを解明するためには、「なぜそのような現象が起こるのか」という疑問から出発し、その現象を、モデリングによって数理的な言葉に翻訳し、得られたモデル(数学の問題)を数学という道具を用いて解析することによって性質を明らかにし、対象とする現象を理解・解明、そして応用しようとする現象数理学に強い期待が寄せられています。

本学は2007年、明治大学先端数理科学インスティテュート(MIMS)を設置し、「社会に貢献する数理科学」を展開してきました。

その実績に基づき、2008年度グローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」が採択されました。その発展的継続、そして研究機関であるMIMSとの連携を推進するための教育研究機関として誕生したのが先端数理科学研究科です。本研究科を担当する教員陣は、現象数理学という方法論を駆使して、非線形非平衡の数理,数理生物学,数理医学,数理ファイナンス,数理人間科学等の数理科学の発展に貢献してきた実績を持っています。

本研究科は先端的な数理科学に寄せられる社会のニーズに応えるために、社会とのかかわりを重視した現象数理学を実践することにより、高度化・複雑化する社会において本質を見抜く能力と数理科学的技術を身に付け、国際的にも活躍できる有為な人材を育成・輩出する教育研究拠点です。

グローバルCOEプログラムが本研究科の先行ランナーとして「現象数理学」を推進してきました

グローバルCOEプログラムは、2002年度から文部科学省において開始された「21世紀COEプログラム」の評価・検証を踏まえ、その基本的な考え方を継承しつつ、わが国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、国際的に卓越した研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的とする事業です。

明治大学では、グローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」が、<数学,物理学,地球科学>部門において2008年度に採択され、現象数理学の教育・研究拠点として活動してきました。これは私学の中で唯一という快挙でした。本研究科は、グローバルCOEプログラム「現象数理学の形成と発展」の中核を担ってきた教育機関です。数学系に限れば、東京大学・京都大学・九州大学・明治大学が採択されていました。

明治大学大学院