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ゲストスピーカーによる特別授業(6月27日実施)

実施日:2014年6月27日(金)
実施場所:駿河台キャンパス リバティタワー1114教室
科目名:バイオテクノロジーとバイオビジネス
ゲストスピーカー:臼岩 拓(臼岩マーケティング事務所 代表)

実施内容:
 「知的財産権の日米比較とケーススタディ -STAP細胞などを知財の視点から学ぶ-」と題して、卒業生でもある臼岩 拓氏に授業をしていただいた。臼岩氏は,本学商学部卒業後,東京農工大学大学院に進学され,技術経営修士(MOT)を取得された知的財産権などに詳しい方で,アスベスト診断士の資格も有している異色の大先輩である。
 以前にも授業をお願いしたことがあるが,今回は,まず,日本とアメリカ合衆国の知的財産権について解説された。特に,日米の違いについて指摘され,管轄や,作物の知的財産権上の扱われ方などの違いについて,詳しく話された。米国では植物特許があるため,新しい作物などを作った場合に品種登録の制度しかない日本よりも権利が保障されやすいことなどを中心に解説された。また,日本の自動車メーカーが品種登録をしていたり,植物特許を申請したりしている実例などを紹介され,たいへん興味深いものであった。
 次に,本年1月から何かと話題となっている刺激惹起性多能性獲得細胞(Stimulus-triggered acquisition of pluripotency cells; STAP細胞)の問題について,知的財産権の視点から解説された。この問題は,既に科学的あるいは技術的な観点からいろいろと議論されているため,食傷気味な学生も多かったかと思うが,知的財産権という側面からの解説は新鮮であったのではなかろうか。特に,発明者,特許出願人,周辺特許出願者の相関図を提示されての説明は,なかなか解決に向かわない現状を理解するために有効であった。
 最後に,技術や製品は「心」が生み出す場合があることを,絆創膏などの開発の具体例をあげて紹介された。科学技術の発達や商品の開発は,しばしばクールに進められていると思われがちだが,人間が為している点では,他の仕事と相違ない。熱意,感性や,人を想う心などが製品を生む際の原動力にもなることを示された上で話を総括されたが,このまとめ方は商学部の学生の心にもよく響いたと思われる。


                                                         浅賀 宏昭(科目担当教員)