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ゲストスピーカーによる特別授業(7月1日実施)

実施日: 2016年7月1日(金)10:40~12:10
実施場所: 駿河台キャンパス 1031教室
科目名: 観光事業論A
テーマ: アソビュー株式会社の設立経緯・展開と地域活性化
ゲストスピーカー: 山野 智久 氏(アソビュー株式会社代表取締役社長)

実施内容:
インターネットが普及し、旅行先が自宅に居ながら映像で容易に入手できる今では、観光地の非日常性が日常性へと転化しやすい。そうなれば、実際にその旅行先へ行った際、さらに深い遊び体験を観光者は求める傾向にある。特に、ICTリテラシーに精通した20代の若者にとって、そうしたニーズは高い。一方、観光地の観光事業者は、そうした遊び体験に関する情報をICT経由で十分に発信できてない。
こうした現状を踏まえて、今回の講師である山野智久(アソビュー代表取締役社長)氏は、ICTを活用した日本国内の遊び体験プラットフォームの構築に、ベンチャー企業のトップとして約4年前から挑んでいる。その結果、現在では国内1万5千メニュー以上の遊び体験型旅行商品を販売する予約プラットフォームとして育てるまでに至った。
遊び体験をすることは現地の滞在時間を必然的に増やすので、食事や土産品、宿泊などに対する観光地における観光者の消費額が増大する。まさに観光地にとって、観光者にとっても理想的な関係がこのビジネスモデルからは生まれてくる。また、観光地で実際に体験するときに地元の人々との交流もあることから、遊び体験は観光者の記憶に強烈に残る。これが契機となり、再びその観光地に行く可能性も高まる。つまり、観光者のリピーター化にもつながっていく。
日本で最大級の着地型旅行商品の予約プラットフォームを築いた山野氏だが、同業他社との強烈な競争にさらされていることを暴露した。着地型旅行商品への需要が高まり、業界からも注目が集まる中、自身が構築したビジネスモデルを模倣したサービスが次々生まれているからである。だが、自分が一から事業者との信頼関係を構築し、切り開いてきた市場であることから、山野氏はパイオニアであり、模倣者にはない強みを持っている。また、サービス提供に至った根源の思想が後発のサービスとは異なるため、同社の向かう先に他社は到達できないだろうと語る。
さらに、依然として日本各地には未開拓の遊び体験を商品化できる余地が残されている。地方創生ブームや訪日外国人旅行者の増加も同社のビジネスを後押ししている。同社のビジネスチャンスは大きい。
最後に、山野氏は、明治大学OBとして、後輩である受講者へ、20代における志しの高さの重要性を説かれた。学生の心も動いたようだ。拍手喝采で講義は終了した。
                                                         藤井 秀登(科目担当教員)