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ゲストスピーカーによる特別授業(7月7日実施)

実施日: 2017年7月7日(金)10:50~12:30
実施場所: 駿河台キャンパス 1011教室
科目名: 観光事業論A
テーマ: 旅行産業の現状と展望
ゲストスピーカー: 矢嶋 敏朗 氏 (一般社団法人 日本旅行業協会 広報室長)
実施内容:
 わが国における旅行業について、第1に、旅行(旅行会社)、宿泊(ホテル、民宿・ペンション、民泊)、運輸(航空会社、鉄道会社、バス会社、クルーズ会社等)、および観光資源・娯楽施設(娯楽施設、小売店・飲食店、コンベンションセンター)を主な対象に据えて説明を行なうこと、第2に、大きな変革期に旅行業が直面している事実を解説していくこと、以上2点が冒頭で示された。
 旅行業の現状として、オンライン旅行会社(OTA)とレガシー・エージェント(従来の旅行会社)とを比較しながら、それぞれの特徴について解説がなされた。成長性の高い事業領域には、eビジネス、地域DMC、インバウンド、MICEを、対してコアな事業領域には、一定の成熟段階に達している、海外企画旅行、国内企画旅行、一般団体、店頭販売、教育旅行を位置づけている。特に近年の特徴として、宿泊申し込みにオンラインが約7割も使用されている点、すなわちパンフレット、ガイドブック、店頭よりもインターネットを活用しながら旅行取引が実施されている点に注目している。たとえば、2013年度に民間調査会社が実施した、オンライン旅行市場調査によると、素材別のオンライン化率は、航空(販売額の46%)、バス(販売額の39%)、宿泊施設(販売額の32%)の順になっている。
 このほか、LCC(格安航空会社)による、国際ネットワークの拡大も旅行業において看過できない要因と認識されている。なかでもアジア域内におけるLCCネットワークの量的拡大、アジア域内を起点とする訪日インバウンド客増大、および関西国際空港や成田国際空港のアジア域内発LCCの運行回数とシェアとの関連性を重視している。さらに、国内宿泊施設の不足に対応した、住宅宿泊事業法(民泊新法)にも言及され、旅行業者が住宅宿泊仲介業を営める点に注目している。加えて、2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックが、日本を世界に売り込む黄金期と認識し、国際観光ビジネス、日本のグローバル化の好機と位置づけている。最後に、旅行業の役割と外的環境への対応、それにふさわしい人財について説明がなされた。

 

藤井 秀登(科目担当教員)