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ゲストスピーカーによる特別授業(3月15日実施)

実施日: 2018年3月15日(木)16:50~19:00
実施場所: 駿河台キャンパス 1075教室
科目名: 商学専門演習
テーマ: 事業承継を考える
ゲストスピーカー: 外池 茂樹 氏 ((株)外池酒造 社長)、清水 雄一郎 氏(三興塗料(株) 代表取締役)
実施内容:
 3月15日(木)16時50分より、1075教室にて、「事業承継を考える」をテーマとして、三興塗料株式会社代表取締役の清水雄一郎様、株式会社外池酒造の社長の外池茂樹様より、お話をいただいた。清水様からは、まず、会社が属する塗料卸売業は、販売店が年々減少し、4割が赤字経営であるという現状をお話しいただき、その後で、ご自身の事業承継後の取り組みなどについてお話しいただいた。入社当時は飛び込み営業、重要な取引先への挨拶回りの日々を過ごしていたが、事業承継後、取引先メーカー主催の講演会で、「社員とその家族を大切にする会社」の話に共感し、「社員が働くことに幸せを感じられる会社」にしたいと考えるようになったとのことである。その背景には、日々一生懸命に働く社員の姿を見ていたことがある。自分の熱い思いを社員に伝え、自分自身、社員とのベクトルを合わせるために、経営計画書を作成し、使命感、夢、行動指針、経営の目的を明記する。現在は、社長の務めは、ESであり、社員の務めはCSであると考え、社員の未来像を示し、人件費を増やし、2017年度、第8回いたばし働きがいのある会社賞を受賞したことをお話しいただいた。講演後、参加した学生との質疑応答も行った。
 外池様からは、39歳で事業承継してから、「私たちはすべてに感謝」で始まる経営理念を作り、焼き物で有名な益子町に外から多くの人に来てもらい楽しんでもらって、単なる消費ではなく、米作りなどのイベントで体験や時間を提供することに取り組んでいるとのお話を伺う。酒造りにおいては直売に集中し、ナンバーワンではなくオンリーワンを目指していること、そのために、観光地益子の地の利を生かしながら、日本酒のみならず、焼酎も、ワインも、化粧品も作っている。地域と利害が競合しないようにすることを絶えず考え、地域の強みをともに活かすことを考えている。外池酒造は、1829年創業の老舗であるが、時代にあった商売を考え、老舗は常に新しい存在で、環境に適応できるところが生き残ると考えている。社員が面白いと思ったことに取組めるようにし、「燦爛」というブランドの日本酒は国内のンテストで金賞を受賞し、海外のコンテストでも賞を受賞しているとのことである。講演後、参加した学生との質疑応答も行った。
 事業承継という、学生にとってはあまり身近ではないテーマについて、実際に商学部卒業後に事業を承継した方の観点から有意義なお話を伺い、質疑応答を行い、事業承継に関する理解を深めることができた。
 

出見世 信之(科目担当教員)