教養の新しい意義と形を創造(デザイン)する
教養デザイン研究科長 小畑 精和
教養デザイン研究科長 小畑 精和
教養デザイン研究科は、2008年に和泉キャンパス(京王線明大前駅)に創設された新しい研究科です。ここでは主に文系学部の一、二年生がそれぞれの専門分野の基礎とともに広く「教養」を身につけるために学んでいます。そうしたキャンパスに相応しいのが教養デザイン研究科です。
一般に新たな概念を明瞭に表すのは難しいものです。この研究科は、既存の学問領域の枠を越えて、人間が平和で幸福に生きていくために大学で何を学ぶべきなのか、それをあらためて深化させて考えるものです。
「教養」とは何か、それを分かりやすく説明するのは簡単ではありません。「法律」、「経済」、「文学」、「物理」、「化学」といった明確な領域をもったものではなく、そうした学問分野を総合した、大学で学ぶことすべてが教養だとさえ言えるかもしれません。英語で教養は「culture」です。この語はもともと「自然」natureに対するものです。作物を育てるために、自然状態の土地を耕すことを本来意味していました。われわれの頭も「耕す」ことによって、より豊かな実りを得ることができるようになります。
「デザイン」は「下de」に「印sign」をつけること、つまり「下地を描く」、「設計する」、「構想する」といったことを意味しています。この研究科では、「倫理・哲学・宗教」、「文化理解」、「平和・環境」の三つの柱をたてて、現代人に必要な「教養」を「構想・設計」し、「その下地を描く」ことを目指しています。
教養デザイン研究科は「人間性とその適正な環境の探求」を研究・教育目標としています。そのために、物質的豊かさを追求する現代社会が置き去りにしてきた精神面に新たな考察を加える「倫理・哲学・宗教」領域研究コース、慣れ親しんだ観点を離れて新たな視点から世界を見直す「文化」領域研究コース、社会的・自然的な環境における共存・共生関係の構築がいかにして可能であるのかを探る「平和・環境」領域研究コースの三コースがあります。
これらの領域研究はそれぞれが独立してあるわけではなく、相互に密接な関係を持っています。こうしたテーマを総合するには、幅広い知識と深い洞察力が必要です。それは困難であるけれども、刺激に富んだわくわくする知的作業でもあります。特定の課題を解決する問題解決型ではなく、「持続する知的好奇心」を培う問題発見型の能力育成を目指すのが本研究科です。
多様な専門分野を総合的、学際的に教育研究するために、本研究科には、人文・社会・自然の諸分野の研究者が集まっています。学生も既存の学問分野にとらわれず、出身学部を問わず、様々な課題と取り組んでいます。また、留学生や社会人も積極的に受け入れているために、多様なバックボーンを持つものがつどっています。多様性が新たな知的刺激を生み出していくのが本研究科の一つの特徴となっています。