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第2回 映像資料活用による学際的アプローチの醸成プログラム

第2回 映像資料活用による学際的アプローチの醸成プログラム開催

特別講義の様子

特別講義の様子

第2回「映像資料活用による学際的アプローチ醸成プログラム(略称、映像資料教育プログラム)」を、和泉校舎リエゾン棟L9教室で7月4日(土)に実施しました。今回は、片岡希監督の初作品である「中華学校の子どもたち」を上映し、併せて監督の片岡希さんをお招きしました。        

本作品は、横浜山手にある「中華学校」における子供たちの日常生活や教育風景に加え、中華学校のこれまでの足跡に焦点を当てたドキュメンタリー作品です。本研究科の研究課題の1つには、異文化理解や多文化共生社会の構築の模索があります。そこで、日本社会においては歴史的にも関わりが深く、で近年特に増加しつつある中国系の人々、そして、彼らの教育機関の「日常」を通じて、日本における「異文化社会」の理解を深めることを目的にして企画しました。        

当日は研究科の院生、担当教員をはじめ、学内の学部生、院生、教員、さらには学外者など多数の人が参加しました。今回は映像資料教育プログラム2回目ということもあり、参加者からは監督に対し、率直なコメントや質問が投げかけられるなど、活発な議論が行われました。例えば、中華学校の日常生活と歴史という2部から構成されている作品構成について、あるいはラストシーンへのメッセージについて等、「見る側」と「作る側」の双方から積極的な意見交換がなされました。(文責・鳥居)

監督・片岡希さんから 「監督/制作者として映像資料プログラムに参加して」
 とかく監督は、撮影対象にのめり込んでしまうもの。創作期間が長くなるほどそれは顕著になり、時に命取りになることもあるのです。『中華学校の子どもたち』制作3年目には、私もすっかりそんな“病”に侵されておりました。それでも外から迎えた編集者と意見を交わしたり、外部向けの試写で意見を得たりしているうちに、徐々にそれは和らいでいったのです。上映前後のマスコミ取材や観客との交流も、その一助となったのかもしれません。
 そして迎えた今回のプログラム。質疑応答は想定内と高を括っていましたが、ハッとさせられる質問がいくつもありました。その原因は、再び私を侵し始めていた“のめり込み病”。昨年の上映から半年が経過、華僑取材を再会していた私は、いつしかまたズブズブと華僑社会にはまり込んでいたのです。取材者たるもの、外からの視点も保っていなければいけないわけですが、ついつい中に入り込んでしまうことがあります。観客の方々から受けた質問は、そんな視点を取り戻してくれる良い機会となりました。
 それにしても、皆さん実によく作品を観てくださっていて、嬉しい限りです。出てきた質問も、技術的なことから作品背景に至るまで、さまざま。こうして与えられる発見が、我々制作者の血となり肉となるのです。そして、こうして語り合っていくことで、映画は益々生きてくるのです。
 私にとっては大変貴重な時間、どうもありがとうございました。

 

参加者のコメント
「日本に住む中国人や華僑が師弟に各々の出自の伝統を伝えたいという気持ちがよく感じられた。私自身東京に長く住む関西人として子ども達に関西の伝統を伝えたいという気持ちがあり、相通じるものがあるように思った。」(社会人)
「思わず見入ってしまいました。真剣に話す大人の意見と無邪気な子どもたちの表情のギャップがおもしろかった。」(明大教員)

「映像資料活用による学際的アプローチの醸成プログラム」とは

 映像資料を見て、社会問題への関心を喚起し、加えて学際的な視点やアプローチを育むことを目的としています。特に、映画監督・プロデューサー等「制作者」を招聘し、制作者側と視聴者側の直接的な対話の場を設け、理解を深めることを意図して企画したものです。今年度は、7回ほどの実施を予定しています。
明治大学大学院