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数理のチカラ − 櫻井 義尚

優秀な秘書のように気が利くシステムをつくりたい

明治大学 総合数理学部 ネットワークデザイン学科 櫻井 義尚



指示されたことだけでなく、その人の状況や思いをくみ取り、相手が求めているものを提案する。そんな優れた秘書やコンシェルジュのようなシステムはつくれないものでしょうか。

私は人工知能技術をベースに、利用者の意図や状況を認識し、それに応じた情報やサービスを提供することで、その人の作業や意思決定をサポートする「気が利くシステム」の研究をしています。 例えば仕事の場では、プロジェクトの状況を把握して適切な選択肢を提案してくれたり、会議やマーケティング、意思決定に必要な情報を探し、整理して提示してくれたりします。プライベートでは、自分の趣味にあった商品を探してくれたり、スケジュールを最適化してくれたりします。



このような「気が利くシステム」の一つとして、すでに実用化されているのが、利用履歴に基づくレコメンデーションサービスです。過去の履歴を解析し、利用者の特徴や行動原理を抽出し、その人がどのようなものを求めているのかを推定し、自動的に検索結果を適切なものに調整する。このような検索のパーソナライゼーションは、今後ますます進化していくでしょう。
私が研究している「感性イメージ検索」では、「スウィート」「フルーティー」などの感性語のパラメーターを設定して、香水などを検索することができます。しかしこのような感性語の評価基準は、人によって異なります。そこで利用者の検索履歴を解析することで、個人差を自動的に補正しています。最終的には、自分の趣味志向を理解してくれ、この人はこういうものが好きだろうと提案してくれる、行きつけのお店のコーディネーターのようなシステムを目指しています。



今、大容量で多様な「ビッグデータ」をいかに活用するかがビジネスにおける大きなテーマになっています。世の中はどんどん複雑化し、情報が増え、数理的に解決すべき課題は増えています。マーケティングの分野などにも、数理的な知識とセンスをもった理系の人間が求められています。



また人やもの、情報、お金の動きはすべてネットワークです。それらをトータルで、数字に基づき、理論立てて考えられる人材はますます重要になってきています。そのような力を育むのが、ネットワークデザイン学科です。対象となるのは、ありとあらゆる社会のシステムです。個別の技術だけでなく、社会における役割やビジネスモデルを含めた、大きな枠組みでものごとを考えられる学生にぜひ来てほしいと思っています。
(了)

数理のチカラ : ネットワークデザイン学科

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