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ロンドン大学SOAS(Visiting Scholar) 吉岡努さん(2016年卒業)

ロンドン大学SOAS(Visiting Scholar) 吉岡努さん(2016年卒業)

プロフィール



2016 年明治大学政治経済学部経済学科を卒業後、明治大学大学院政治経済学研究科に進学。
現在、Visiting Scholarとしてロンドン大学SOASに所属。在籍1年目。大学時代は、卒業論文の執筆に力を入れていた。八木尚志先生のゼミナールに所属。

現在の仕事について

次の三つのテーマで研究を進めています。
第一に、マクロ経済動学の手法を用いて所得分配と景気循環の関係を説明する理論的な分析、第二に産業間の結びつきを表す産業連関表を利用した経済構造に関する実証分析、そして第三のテーマとして、SOASでは景気循環の過程における金融の役割について研究しています。
財・サービスに関わる実物部門と貨幣の需給に関わる金融部門の相互関係に着目しながら経済現象のメカニズムを説明するべく研究に取り組んでいます。

現在の仕事を選んだきっかけは?

学部生のときに受けた経済学の講義がきっかけです。
現実に起こっている経済現象のメカニズムを説明する理論を学び、パズルを解くような面白さを感じるとともに、広く社会に役立つ学問であることを知り、この道に進みました。

現在の仕事について、学生時代に抱いていたイメージとギャップを感じるところは?

研究以外にも様々なことに対処する能力が求められるところです。
色々な人と交流ができ、自身の世界観が広がるので魅力の一つでもありますが、事務的な作業をはじめとして研究以外にも多くのことへの配慮が必要です。

仕事をしていて一番うれしかったことは?

他の研究者から多少なりとも自身の研究を認めていただけたときは、純粋に嬉しく思うとともにそこに至るまでの過程が無駄ではなかったことにほっとします。
周囲の方の意見は、励みになると同時に研究の改善点を議論するきっかけになります。

また一番つらかったことや苦労したことは?

先が見えないことです。
研究にはこれさえやれば良いという教科書のようなものはなく、膨大な準備のすべてが成果として認められるわけではありません。効率的な勉強が是とされる世界ではなく、物事の本質を見極め、重要なことを真剣に考え抜く力が求められます。

在学時の学びが現在の仕事に生かされていることは?

SOASのシンボルThiruvalluvarの銅像と図書館

ゼミでの活動です。
卒業論文の執筆を通じ、人に伝わるように工夫して文章を書くことの大切さと難しさを学びました。卒業論文で取り上げたテーマは、現在の研究テーマの土台にもなっています。
また、恩師である八木先生が毎年開催される国際会議は、私の研究活動における基礎の一つとなっています。国際会議には世界中から一流の研究者が参加し、ゼミ生はその運営を手伝う機会があります。国際会議での経験をきっかけに私の英語力は大きく向上し、活動の幅が広がりました。

在学時の経験から、おすすめの授業、プログラム、学部独自の支援は?

海外の教員・研究者が現地のスタイル・英語で行う講義であるトップスクールセミナーです。
英語で経済学などの専門科目を学ぶことで実践的な英語に慣れることはもちろん、専門知識も深まります。私は英語が不得手でしたが、学部の3年次から毎年トップスクールセミナーを受講し、徐々に海外の教員、研究者と会話することができるようになりました。現在の所属でお世話になっている先生とは、トップスクールセミナーを通じて交流が始まりました。こうした経験は英語で執筆した博士論文にもつながり、博士課程3年間の成果を海外の研究者と共有することができるようになりました。

政治経済学部在学生に向けてメッセージをお願いします。

色々なことに挑戦し、失敗から学ぶ姿勢を身につけてください。
私の恩師がよく引用されるのですが、ケインズの師であるマーシャルはその主著『経済学原理』の中で「自然は飛躍せず」と述べています。
一歩ずつ、半歩ずつでも「前へ」進む努力を続け、皆さんが希望する道を切り拓いていかれることを願っています。