学部長メッセージ

21世紀の文学部

文学部長 林 義勝 文学部長 林 義勝

有人宇宙ステイションの建設が具体化している一方、依然としてアフリカ諸国では飢餓と病気のため多くの子供たちが命を落とし、イラクでは戦争状態が続いています。このような複雑な社会の現実を考えた時、文学部で学ぶ意義とは何でしょうか。われわれは従来から「十分な専門的知識を身に着けた幅広い教養人の育成」を教育目標に掲げています。これを21世紀の社会に翻訳すれば、人間社会のあり方、人間の生き方を、古今東西の文学・芸術作品、人類の歩んできた世界各国の歴史、人々が作り上げてきた地球上の地域・景観、さらには社会状況を背景に個人の心のひだを読み解き理解する。その上で、こうした錯綜した世界を生き抜いていく、一人の人間としての資質を高めていくことを目標としていると言い換えてもいいのではないでしょうか。
文学部には文学科、史学地理学科、そして心理社会学科が置かれています。皆さんには、それぞれの知的関心に応じて自身の中に潜在する創造性を深めると同時に、外の世界に向かっては自然や他民族と共生し、平和に暮らしていく道を考えて欲しいと思います。明治大学文学部では、そうした自身の資質を高めようとする意欲的な皆さんがそれぞれの目標を達成できるよう、充実した教員スタッフが授業や合宿などを通して積極的に関わっていきます。 

情報発信力を!

文学部では、上に述べたような大きな目標を掲げながら、それを達成するカリキュラムの大きな柱に、少人数ゼミ教育を置いています。1年次の基礎演習から4年次の卒論指導に至るまで、各年次に配当されたゼミ科目を履修することによって、教員の適切な指導のもと、各自の情報発信力が身に付くよう配置されています。情報発信力とは、自分で調べ上げたことを順序良く論理的に口頭で説明できるばかりか、分かりやすい文章にまとめる能力のことですが、こうした能力を習得するためにゼミでは互いに切磋琢磨するのです。われわれ教員も、皆さんのそうした潜在能力を引き出すために教育方法、指導を工夫する努力を惜しみません。 

伝統の継承

明治大学文学部は1904年に設置が決定され、1906年から授業を開始した、日本全国でも有数の長い歴史を誇る学部です。文学部では、毎年800名前後の卒業生が社会に羽ばたいて行きます。卒業生の中には、例えば、作家の倉橋由美子氏、作詞家の阿久悠氏、明大学長も務めた日本史研究者木村礎氏の3氏は既に故人ですが、直木賞作家天童荒太氏、考古学者大塚初重氏らがいます。そして、さらに強調したいことはこうした人々以外の卒業生一人ひとりが各自の持ち場で、「十分な専門的知識を身に着けた幅広い教養人」を目指して日々努力をされていることが、明治大学文学部卒業生の社会的評価を高らしめています。そうしたことが、文学部の社会的評価にも跳ね返ってくるものと思います。皆さんも是非文学部の誇るべき伝統を継承する一翼を担ってください。 

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