アジア史専攻

今アジアが人を求めている

 今、アジアは大きく動いています。世界経済・外交を動かしている主役がアジア諸国であるといっても過言ではありません。日本は、そのアジアの主要な一員として、重要な役割をはたすことが期待されています。今後アジア各国との交流はますます深まり、関係は一層緊密となっていくでしょう。大きく変わるアジアのなかで、ずっと息ながく交わっていくためには、何よりも互いを尊重、尊敬しつつ、心の通った交流ができる互恵の精神が必要である、と私たちは考えます。
 しかし現実はどうでしょうか。東アジアでは、中国・韓国と領土問題や歴史認識問題をめぐって対立し、両国に悪感情を持つ人が増えています。拉致問題や核開発問題を抱える北朝鮮についても同様です。西アジアでも、過激派組織ISが勢力を拡大し、日本人が殺害されるという事態になりました。その結果、イスラーム教や中東地域の国々に対する誤った認識が広まる恐れがあります。 
 アジア諸国の人びとと政治・経済関係のみならず、教育・文化交流をしていくためには、なによりもお互いの歴史を知ることが不可欠です。日本全体に内向き傾向がつよまるなかで、逆にきちんとしたアジア認識をもった優秀な人材が重みを増しているのです。
 わが専攻はそのようなアジア世界に積極的にコミットし、歴史・文化を理解し、アジア諸国・人びとに信頼される人材を育成します。

アジアの歴史と文化の重要性、そして歴史を紐解く面白さ

 アジアの国々と対等互恵の交わりを結ぶには、まずお互いのことをふかく知る必要があります。私たちはどれだけ相手のことを理解し、物事の本質を知ろうとしてきたでしょうか?
 悠久の歴史と多様な文化をあわせもつ中国。激動の歴史をたどった韓国・朝鮮。宗教を価値のよりどころとして独自の文化を花開かせるイスラム諸国。あるいは成長目覚しい東南アジアやインド。そして、それら特色のある各地域を結びつけ、新たな力を吹き込んだシルクロードや海上の道……。
 古来アジア諸地域には、豊かで伸びやかな人びとの営みがあり、その上に重層的な歴史が築かれてきました。その流れの先に、今日の人びとの暮らしがあります。現代は過去と断絶したところには存在しません。例えば、日常生活で使用される「紙」を作る方法は、751年におこったタラス河畔の戦いで、唐軍の捕虜からイスラーム世界へ伝えられたと考えられています。現代の生活に欠かすことのできない「紙」の起源もアジアの歴史のダイナミズムの中から生まれたということができるでしょう。
 欧米諸国がアジアと肩をならべられるようになるのは18世紀以降のことです。私たちの向き合うアジアは、それよりもっと奥行きがあり、どこまでも惹きつけてやまない魅力をもっています。歴史は汲めども尽きぬ知の宝庫、アジア史はまさにその典型です。歴史をおおうベールを一枚一枚はがしていくと、そこには歴史に息づく人々の世界が見えてきます。司馬遷の『史記』、魯迅の『阿Q正伝』、イブン・ハルドゥーンの『歴史序説』など高校の世界史で学習した史料を、原文で読み解いた先に目指す対象が浮き彫りにされたとき、私たちはそこに無上の感動を覚えるはずです。
 歴史の勉強は日々未知との遭遇です。そしてそのなかで知ることのできた歴史の本質が、まさに現代社会を理解するカギとなります。歴史と切り離された現代は存在しないのです。
 私たちの専攻は、アジア史の面白さとその積極的な意味を学ぶことをつうじて、しっかりしたアジア認識を身につけ、アジア世界と積極的にかかわることのできる人材の育成を目指します。

明大アジア史専攻の教育研究の体制

 私たちアジア史専攻は、1学年の学生数が40人ほどの小さな研究室です。授業はさらに細分化され、一人一人の顔をみながら、和気藹々と、しかし真剣に進められます。
 専任の教員は、中国・東アジアの古代・中世史から近現代史まで、また東は朝鮮・韓国史から西はイスラム・トルコの歴史まで、はたまた中央ユーラシアにまたがるチンギスカンのモンゴル帝国の歴史までをカバーします。いずれも第一線の専門家、他の大学にはない充実ぶりです。
 加えて、多彩な兼任講師の先生方が授業を担当しています。図書館の蔵書や情報検索の態勢もよく整っています。ここに身を置く人たちは、アジア史のすべての分野を射程に入れ、研究テーマを自由に選び、思う存分勉強してもらえることでしょう。
 アジア史専攻の学生は、広くアジア各地の歴史と文化を学びつつ、特定の地域・時代を選択して史料の読解力や多面的に考察する思考力を養い、それを卒業論文に結実させていきます。そのため1年次より演習(ゼミ形式)授業があって、各学年3~4のゼミに分かれ、文献・史料の読解や研究発表をおこないます。その間、留学や旅行のために飛び出していく人も多くいます。また、専任教員が引率して北京・上海などを研修旅行する海外ゼミ合宿を毎年実施しています。
 そして3年次に、学生各人の関心にもとづいて地域・時代を選択して卒業論文の準備に着手し、4年次に完成させます。各ゼミでは、少人数のメリットを生かして教員から個人指導に近いかたちで専門的な指導を受け、史料から歴史を読み解くおもしろさを実感できるでしょう。

卒業後の進路—多様化する進路

 明大アジア史は、多くの優れた人材を世に送り出してきました。大学関係はもちろんのこと、高校や中学などの教員、国や地方の公務員、博物館などの学芸員や図書館司書、また新聞社などの報道機関や大手を含む出版社、そして様々な民間企業などです。民間企業では、旅行社や広告会社、銀行や生保会社をはじめ、最近ではIT方面に進む人も増えています。
 私たちの見るところでは、入学後の早くからきちんと目標を立て、日々勉学にいそしんできた人たちがよい結果を出しています。企業の側は表面的なノリよりも、じっくり本人の資質や勉学ぶりを確かめて採用するからです。アジアを勉強することは、今最も先進的な生き方だと思います。その自信に立って就職活動に臨むことを私たちは求めています。
 従来、文学部を出ると学校の教員や公務員、あるいはマスコミ関係を目指すのが定番でしたが、私たちはそのように進路を狭めることはないと考えます。たんなる実務性だけではなく、幅広い教養と専門性を重視する文学部こそが、むしろ21世紀の学部です。積極的に社会の諸分野に可能性を追い求めてほしいと期待します。企業の側もいまやいい人材であれば、学部は問いません。新たな分野に飛び出していける元気な諸君を、これからも育てます。
 

卒業後の進路—大学院進学

 今日、日本社会では高度教養人の育成が新たな課題となっています。厳しい国際競争を勝ち抜くためには、高度な学問を身につけた人材が必要だからです。アジア史専攻でも、学部4年間で学んだものをさらに深めたいと希望して、あるいは教員資格や学芸員・図書館司書資格を取得するために、大学院博士前期課程のアジア史専修に進学する人がいます。博士前期課程を修了した後、さらに研究者を目指して博士後期課程に進み、より専門的な研究に邁進する人もいます。
 現在、大学院アジア史専修には10名の院生が在籍して研究に励んでいますが、そのなかには他大学出身者や留学生も含まれています。大学院では各種の奨学金が設けられているので、希望すればほぼ全員に何らかの奨学金が支給されるはずです。また、院生専用の研究室がグローバルフロントにあり、院生諸君は和気藹々とした雰囲気のなかで研究にいそしんでいます。
 アジア史研究室は『明大アジア史論集』という学術雑誌を毎年発行していて、すでに19号を数えます。本誌には院生が研究成果を発表し、学部生の優秀な卒論が掲載されることもあります。院生はこのほかに学内の『大学院文学研究論集』『駿台史学』や学外の学術雑誌に投稿して、業績を蓄積してゆくことになります。
 アジア史専修では、専任教員のほか第一線の研究者を講師に招いて充実したカリキュラムを組み、留学や外国との交流の機会を多く作っています。たとえば2013年度には、「中国中世社会形態若手研究者国際学術論壇」というシンポジウムを開催し、アジア史専修の大学院生と中国や台湾から招いた研究者・大学院生が研究発表や討論を行いました。こうしたことを積み重ねることによって、国際的に通用する優秀な人材を送り出したいと考えています。
(参考:大学院入試日、博士前期課程は9月中旬と2月下旬の2回。博士後期課程は2月下旬の1回)

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