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国際日本学研究科

第4回 国際日本学学術集会を開催しました

2024年01月19日
明治大学 国際日本学研究科

 2023年12月16日・17日の2日間、北京大学において、第4回国際日本学学術集会を開催しました。

この国際日本学学術集会は、2019年に明治大学国際日本学研究科と北京大学外国語学院とが協定を締結したことをきっかけに始まったものです。第2回までは、日本語学・日本語教育学の分野だけの学術集会でしたが、第3回からは日本学全般に範囲を広げ、雲南大学外国語学院からの参加も得て、年1回開催しています。

第4回は、第1回以来の久しぶりの対面開催となり、3つの大学から約40名の教員と大学院生が参加し、6本の教員講演と8本の学生発表があり、熱心な討議が行われました。教員も大学院生も、国際的な学術交流の意義を確信し、今後の継続的な交流を約束し合いました。

12月16日(日)
司会 北京大学 孫建軍   挨拶 北京大学 金勲
紹介 雲南大学 羅椿詠 / 明治大学 田中牧郎
教員講演
・ 「「恩愛」と「孝養」—中世唱導説話・絵画に見る「孝」の日本的変容—」 渡浩一(明治大学)
・ 「「下剋上」の作法と論理—日本政治形態への影響を視点に—」 趙毅達(雲南大学)
・ 「妖刀をめぐる近世の歴史と文芸」 劉琳琳(北京大学)


金勲先生挨拶


田中牧郎先生紹介

             
孫建軍先生司会           


渡浩一先生講演

12月17日(日)
教員講演
・ 「ゲームと文学の関係の歴史」 小谷瑛輔(明治大学)
・ 「信原継雄『清語文典』(1905)における日本語文法概念の活用」 盧驍(雲南大学)
・ 「川端康成『古都』における外来文化と日本の伝統」 岳遠坤(北京大学)
学生発表
・ 「向田邦子のドラマトゥルギーとその影響—〝少しぐらいの嘘〟の系譜—」 川田亜弓(明治大学大学院生)
・ 「日本と中国の端午の「浄化力」について」 史乃琛(明治大学大学院生)
・ 「形容詞のスケール性から見る日本語程度副詞「ちょっと」と形容詞の共起関係」 李洪馨(北京大大学院生)
・ 「近現代における「不安」の意味変化」 星川睦(明治大学大学院生)
・ 「明治末期日本人が編著した北京語会話書『燕語新編』における語彙の研究─通時的・共時的分析に基づいて─」 羅冰梨(雲南大大学院生)
・ 「文明論における福沢諭吉の儒学観再考—「文明」という言葉の使用を中心に─」劉釗希(北京大学大学院生)
学生発表(オンライン)
・ 「中学校教科書における「理由付け」に関する語の使い分け」 淺野萌花(明治大学大学院生)
・ 「谷崎潤一郎「魔術師」論—博覧会を視座にして—」 芹沢凛香(明治大学大学院生)
 

小谷瑛輔先生講演


参加した大学院生の印象記
〝円卓〟を囲む国際交流      川田亜弓(日本文学研究)
マイナス17度の極寒に驚きながら案内された北京大学内の会場は、参加者が向き合うようにセッティングされていた。そこは、スクリーンに映るオンライン参加の方も含めて、まるで〝円卓〟でお喋りするような空間で、おかげで初対面の緊張も和らぎ議論も活発化したと思う。発表内容はジャンルや話題も様々で、「日本学」の多様性や研究の発展性におおいに触発された二日間であった。
懇親会では心づくしの〝宴卓〟を囲んだ。宴席では目上の方の席へご挨拶に伺うという中国の習慣に倣って、我々も北京大学や雲南大学の先生方と直接お話をすることができた。
また北京大学新館にある「明治大学漫画図書館」の見学では、明治大学が寄贈した図書を利用した研究について語ってくれる学生と偶然出会うことができ、大学間の交流を実感できたことを報告したい。〝円卓〟の円は〝縁〟に通じるものだった。私も今回の学術集会で得た〝縁〟を大切に、今後の研究に活かしていきたいと考えている。

川田亜弓さん研究発表

国を超えた友情を築く機会      史乃琛(日本文化研究)
この度、貴重な発表の機会をいただき、誠にありがとうございます。北京のマイナス16度の酷寒の中で、北京大学の方々から身に余る温かいおもてなしをいただき、感動させられました。先生方からのご意見、ご指導は今後の研究活動に方向を示してくださるものでした。また、文学、史学、言語学など、幅広い他分野にわたって、皆さまの素晴らしいご発表を聞いて、自分の視野を広げることとなり、刺激的でした。
 短い間ですが、北京大学、雲南大学の院生の方々とも各自の研究について意見交換を行い、将来に向けてお互いに励ましの言葉を交わすことができ、友情を築く機会になりました。この中の多くの人が将来日本へ留学するということでしたが、是非一度明治大学にお越しください。皆様と日本で会うのを楽しみにしております。
 来年の学術集会も楽しみにしております。皆様のご活躍を心より祈っております。

史乃琛さん研究発表

日中の大学間のネットワーク     星川睦(日本語学研究)
これまでオンラインでの開催が続き、コロナ禍が明けてから初めての対面での開催ということもあり、参加を心待ちにしていました。北京首都国際空港に着くと、経験したことのないような寒さを感じましたが、開催校の北京大学外国語学院、そして雲南大学外国語学院の皆さんに温かく迎えられ、会場は活気に満ちていました。
私は、2日目に発表をし、会場の先生方から今後の研究の発展に繋がるような示唆に富んだご助言を頂きました。また、2日とも行われた懇親会では先生方や学生の皆さんと交流ができ、とても充実した時間を過ごしました。今回の学術集会への参加は、学術的な視野を広げ、今後の研究活動に大いに役立つものになりました。同時に、日本と中国の大学間のネットワークが深まり、この集会の更なる発展の可能性を感じました。

星川睦さん研究発表


北京大学外国語学院前で2日目参加者


 明治大学からの現地参加者
明治大学大学院