教養デザイン研究科は、2010年4月より、現在の修士課程が博士前期課程に改組され、また新たに博士後期課程が開設されます。この博士後期課程開設を記念して、11月21日、『「東アジアの平和環境圏の構築」を目指して』を駿河台キャンパスで開催しました。
今日環境問題の重要性が認識される中で、日本における環境問題としては、東アジア地域における環境問題の重要性と深刻さをあげることができるでしょう。年々影響をもたらしているといわれている黄砂、あるいは沿岸地域での変化です。国境を越えた環境問題-越境公害-に直面していると言えるでしょう。
教養デザイン研究科では、3つのコースの1つである「平和・環境」領域研究コースで、こうした問題に関する研究・教育に取り組んでいます。
今回のシンポジウムでは、「東アジアの平和環境圏」という言葉を提唱しました。それは、東アジア諸国の政府間で、またこの地域の国民の間に「平和と環境問題に関する共通認識を醸成し、その認識を基に“平和環境”を維持、発展させた空間(=圏)を提唱する」という意味です。
シンポジウム当日は、納谷学長、吉村大学院長臨席のもと、学内外の約100名あまりの人々が集まり、熱気にあふれた催しとなりました。
まず、記念講演として、武村正義氏(村山内閣大蔵大臣)が、ご自身の滋賀県知事として琵琶湖の富栄養化にともなって発生した赤潮をきっかけとして、知事を先頭に県庁が琵琶湖を生き返らせるための取り組み(リン対策を目的とした琵琶湖条例)について、具体的なエピソードを交えて報告されました。また政界引退後は、中国の砂漠化と緑化にどのように取り組んでいるかについて、その思いを語られました。武村氏のお話は、氏が中国の砂漠に1本ずつ植林しているのと同じように、明治大学の学生達にも「環境問題」への視点という芽を植え付けていったような気がします。