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明治大学広報
第572号(2006年6月1日発行)
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「『ニート』って言うな!」 内藤朝雄ほか著 (光文社新書、800円)
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 「ニート」という言葉はここ1、2年の間に急速に日本全国に広まった。日本のニートは内閣府調査によると2002年に85万人と推計されている。マスコミはこぞってニート問題を取り上げ、「若者自立塾」などニート関連の政策も見られるようになった。

 日本でニート問題が論じられるとき、ニートはひきこもりと重なり、働く意欲がない、何を考えているのか分からない情けない若者というイメージで語られることが多い。

 本書の著者は、こうしたニート論に警鐘を鳴らしている。

 共著者の本田氏は、働く意欲の問題よりもむしろ若者の就業環境に根本的な問題があり、労働市場や学校教育のあり方を改めるべきだと説く。内藤氏はニート論を「青少年ネガティヴ・キャンペーン」の一環だと指摘し、後藤氏はマスコミなどで取り上げられたニート論を批判的に検証している。

 ニートの若者に責任があるわけではなく、彼らを生み出し、問題にする社会の側が問題だという著者の指摘は確かに一理ある。ただニート論に対し、やや一面的な批判との感も否めない。ニートの若者に目線を合わせた議論も必要ではないかと思う。

小関隆志・経営学部助教授(著者は文学部助教授)



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