Go Forward

マーケティングコース

取引を促進させる手法を学問する

概要

 商学は取引に関する学問です。そのなかでマーケティングは、顧客の欲求を満足させるために、製品、価格、流通、広告などの観点から事業を捉えていきます。
 今日、情報技術の発達やグローバリゼーションの進展によって、製品やサービスと顧客は、国や地域を越えて移動しています。製品やサービスの取引をみると、売る側における広告表現や取引条件、買う側における消費行動や購入・決済方法は多様化しています。
 マーケティング研究では、こうした製品やサービスの取引をより促進させるための考え方を理論とケーススタディの両面から学習します。また、国や地域の社会経済や商工業に影響を及ぼす取引には、モノやヒトの場所的移動という交通が必須となります。
 そこで時代ごとに変化する国際間・地域間におけるモノやヒトの移動のあり方について、理論とケーススタディ、現状分析と歴史分析を通じて知見を広めていきます。

ねらい

『流通・マーケティング部門』
 なぜ製品はそのように売買されるのかを理解できるようにするための理論的な技術を提供するのがこのコースの狙いです。それは、メーカーと消費者の間に製品、資金、そして情報を効率よく流す仕組みをどのように設計するのかを考えることに他なりません(図)。
 しばしば誤解されていますが、マーケティングは、消費者の好き嫌いを訊く消費者調査でもなければ、旬なタレントを起用した面白おかしいテレビ広告でもなく、製品を消費者まで効率よく流通させるための経営技術のことなのです。
 『交通部門』
 交通の分野にはさまざまなテーマがあります。たとえば、鉄道やバスの自動運転技術の開発、鉄道・航空・海運・トラックなどの交通企業や宅配便会社の経営問題、貨客混載による鉄道・バスと宅配便会社の連携、交通・観光とまちづくりの連携、AIを活用した配車管理システムの実用化、企業の物流効率化やサプライチェーンの構築などです。交通部門の目的は、こうしたテーマを「交通サービス」の生産・販売および消費という観点から解明し、望ましい「交通サービス」のあり方を考えることです。

特徴

『流通・マーケティング部門』
 本コースの学問としての特徴は、効率的な製品流通を実現するための全経営技術に研究対象が及ぶことです。工学的な製品開発から、消費者の購買心理までが研究の射程に含まれます。マーケティング・マネージャーの仕事は、製品を企画し、開発し、それをいつどれだけつくって、どこへいくつ運び、いくらで売るために、どれだけの販促をするのかを決めることです。やっていることは製品企画だけでなく、予算の策定、広告ミックスの算定、商業者との交渉、プロモーションの日程、そして最後は利益責任を負うこと、つまりは会社の仕事そのものなのです。
『交通部門』
 交通部門の主な講義科目には、交通論、都市・地域交通論、物的流通論、国際交通論、観光事業論があります。どの科目でも、基礎的な交通理論や流通理論を土台として、それぞれの専門分野を学ぶことになります。そこで重視しているのは、現実の課題を的確にとらえ、その解決のためのアプローチを理論的かつ実践的に考える姿勢です。さらに、海外の理論や事例を吸収し、新たな視点で展開する際に必要な「国際感覚の涵養」や、問題や対象の背景についての「歴史的考察」も重視しています。

履修者への助言

『流通・マーケティング部門』
  マーケティングは応用科学です。オリジナルな理論は少なく、ほとんどは周辺諸科学からの応用になります。そのため、コース科目の履修はもちろんのこと、ミクロ経済学、心理学、社会学、統計学は断然必要になります。時には文学の批判理論なども広告の意味分析で使う可能性があります。
『交通部門』
 現在、メディアを賑わせている話題として、主に都市部における自動車・自転車・電動キックボードのシェアサービス、自治体が運行する地域交通としてのデマンド交通やコミュニティバスがあります。移動手段ではなく、移動自体を目的とする観光列車を運行する鉄道会社もあります。航空業界では石油を使わない燃料(SAF燃料)の開発による脱炭素化が目指され、空港運営では民間委託による競争力の向上が図られています。普段から、各種メディアを通じて、そうした現実の交通・観光に関する事象に対して関心をもち、「なぜ?」を考える習慣を身につけてください。

育てたい能力

『流通・マーケティング部門』
 現代のビジネスシーンでは、大量生産した製品に自社ブランドをつけて、他社よりも優先的に消費者に自社製品を届けるべく、日々、企業は技を競いあっています。本コースでは、なぜその技が効率的なのか、なぜそれが開発されたのか、それはどのように機能するのか、こういった研究課題を分析するためのトレーニングをします。
『交通部門』
 交通部門の目標は、次のような能力を育てることです。すなわち、①現実の課題を的確にとらえる鋭い観察力と的確な問題意識、②それを裏づける幅広い教養と深い専門知識、③複眼的で柔軟で論理的な思考力、④現実の政策に対する批判力、⑤新たな政策提言を生み出す構想力、⑥それらを支える国際的な情報力、そして⑦現状を変革する行動力です。

科目紹介 ※一部抜粋

都市・地域交通論 A・B(恩田 睦 教授)
  皆さんにとって身近な鉄道やバスといった交通機関は、大都市では朝夕の混雑問題、地方では利用者の減少による存続問題に直面しています。この原因には、鉄道会社やバス会社の経営だけでなく、都市計画や「まちづくり」のあり方が大きく関わっています。この講義では、都市交通・地域交通をめぐる問題の背景とその解決策について、歴史・理論・ケーススタディなどを通じて考えていきます。
マーケティング 管理論A・B(加藤 拓巳 准教授)
 マーケティングの本質は、販売を不要にする価値づくりです。商品・サービスのコンセプトという目的(存在意義)を定め、適切な手段を採用しながら一貫して具現化していきます。その実践に必要な知見は多岐にわたります。それを体系的に学び、かつその知見を実課題に活かす訓練を行います。この繰り返しによって、消費者視点から、マーケター視点への転換を図ります。 

基幹科目

 商業経営論 マーケティング管理論 市場調査論 広告論 インダストリアルマーケティング論 商品学 流通史 消費者行動論 マーケティング企画 競争戦略論 交通論 物的流通論 国際交通論 都市・地域交通論 公益事業論 観光事業論 産業組織論 情報管理論 国際マーケティング論 流通システム論 クリエイティブ・マーケティング論