第575号(2006年9月1日発行)
本棚
「グローバリゼーションと国際貿易」
福田 邦夫、小林 尚朗 編 (大月書店、2500円) |
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本書は、数年にわたる検討を経て刊行された意欲的な貿易論の入門書である。それだけに3部15章の構成と内容には、類書にはない工夫が多く見られる。
第1部「貿易の基礎」では、貿易の歴史、理論、実務、政策の解説が体系的に行われており、その構成自体新味に富んでいる。第2部「戦後国際貿易の展開」では、国際金融、第三世界問題、環境問題等が扱われるが、ここでの議論は従来の貿易論の枠を超えて、広く国際経済学の領域にまで及ぶ。第3部「世界各国の貿易の現状」では、アメリカ、EU、東アジア、ラテン・アメリカ、中国の最新事情が紹介される。文章は平易だが中味は濃い。
本書は、貿易論の成果を総動員して「世界の人々のリアルな生活」を捉えようとする試みであり、読者はそうした視点からの議論より、現代世界の諸課題について多くを学ぶことができよう。「テキストでありながら、オリジナリティーの確保に努めた」と編者自身が言うように、執筆陣の主張が随所に反映された示唆に富む一書である。しかし、本書の気鋭の論者の主張は、いまはじまったばかりである。南アジアとアフリカを視野に入れた続編の刊行も期待したい。
横井勝彦・商学部教授(編者は順に商学部教授、商学部助教授)
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