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明治大学広報
第583号(2007年5月1日発行)
本棚
「歴史考古学を知る事典
熊野正也ほか編  東京堂出版 2,800円
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  この本の代表をしている熊野氏のモットーは、“わかりやすい考古学”である。最近、文字が使用されていた時代の歴史考古学の発掘は、歴史的事実を書きかえる成果があらわれ、とくに中世・近世考古学の発展が著しい。そこで歴史考古学の理解できる本を編集した、と言う。

 この本を読んでいて気がつくことは、この本には知識の即効性があることだ。つまり、すぐに効用が大なのである。なぜこういった心くばりの編集になったのか、おそらく、この同人に共通する職業体験によるのだろう。その共通性とは全員が学芸員体験のあること。かつて熊野氏と川上氏は博物館館長を、谷口氏と古泉氏は現役学芸員である。その体験が、この本を全体的に“わかりやすい考古学”を感じさせてくれることになった。

 この本の活用法を紹介する。江戸時代に、徳川光圀による日本最初の考古学的発掘が、下野国侍塚古墳である。出土遺跡が記録され、埋め戻し保存された、とある。行きたくなる。侍塚古墳に近い博物館を調べると、なす風土記の丘資料館湯津上館がある。現地で半日この本を手にして、歴史考古学の勉強ができる。一念発起づけをさせる本である。

吉田優・文学部准教授
(編者は元職員)


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