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明治大学広報
第590号(2007年12月1日発行)
論壇
明治の研究・知財に想う
理事 宗近 博邦
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 時代が変わり、社会が変わる。

 18歳人口の急減、大学数の増加に加えて、進学率の頭打ち・・・等、戦後半世紀の大学経営を取り巻く右肩上がりのトレンドは崩れた。加えて行政の規制緩和への転換により、好むと好まざるとに関わらず教育の場に市場原理が導入され、大学は本格的に厳しい競争にさらされる時代に入った。

 私は大学人としてはわずかな経験ながら、育った金融界を振り返ると、ビッグバン以降の規制緩和により、銀行・保険・証券の業界地図は10年余りにして一変。大学経営といえども、ピンチとチャンスが背中合わせの、これからの優勝劣敗の世界を思わざるを得ない。

 大学に求められる使命も「教育」「研究」に加え、その研究成果をもって社会や企業の発展に寄与するという「社会貢献」が第三の柱となった。こうした中、本学が新しい時代に向け事務機構改革への挑戦や、教学面においても広範な改革を進めつつあることは、校友の一人として頼もしい限りである。

 本学では学長をヘッドとする研究・知財戦略機構を立ち上げた。目的は研究体制の抜本的強化であり、併せて知財本部とリンケージして第三の使命にも応えようとするものである。少子高齢・人口減少社会を迎え持続的成長をどう維持するのか、本格的グローバル化の中、国際競争力をどう確保するのか、「知の創出拠点」として大学にはかつてない期待が託されている。

 研究大学としての私学は、旧帝大を中心とする国立に比し、圧倒的な研究費の投入差という歴史的ハンディを負っている。これに加え、私学における一握りの上位校とその他との格差拡大という問題がある。「人・モノ・金」の研究支出は、私学においては収入の圧倒的部分を占める学生納付金が伸び悩み、経常的収支の逆調に苦しむ中、それらに多くを依存することはできない。将来の研究原資確保には、大学の財務体力の強化と、厳しい自己努力によりいかに外部資金を増やすかが重要となろう。主たるものは科研費やCOEに代表される各種補助金、ライセンス移転、委託・共同研究費等の受託事業報酬であろう。

 大学における研究が競争的となる中、明治の強味を生かした特色ある研究分野をどう構築するのか、中期的課題と併せ当面の研究環境の整備をはじめとする多くの課題にも、全学一体となった取り組みが急がれる。

 一方、研究成果は移転されて新たな価値を生む。それがまた研究に新たなエネルギーを付加する。創造から登録・移転そしてまた創造へという「知の創造サイクル」には、知財本部の出口戦略、わけても外部とのリエゾン機能の強化がぜひ必要ではないか。あらためて研究・知財の一体的連携がカギとなるであろう。

 既にある教育大学としての評価に加え、また研究大学としても、まさに「外部評価に耐えうる総合大学」として次の半世紀にむけ力強い前進を熱望するものである。




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