第596号(2008年6月1日発行)
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私の研究テーマの一つは地域連携であるが、研究に 際して地方に行くと、特有の悩みが聞こえてくる。地元に大学がないため、進学希望の若者は大都市に出ていって、その後地元に戻らず、地方は高齢化する一方だという悩みである。
明治大学のデータでは、2003年度入学者の30%は関東外出身者で、そのうち4年後に地元の道府県へ戻った学生は11%だった。ということは、明治大学にも地方の高齢化の責任の一端があるということになる。
明治大学は、地方で入試を行う全学部統一入学試験を導入した。しかし、単に地方に入試会場を設けるだけでなく、これからは就職・キャリア形成支援において地方に人材を送り込む役割を担うべきではないだろうか。地方の受験生や在学生の親から、ひいては地方の社会全体から信頼を得ることができる。その結果、全学部統一入学試験の志願者数も増加するのではないか。
ただ志願者数にとらわれることなく、若い人材を日本中に還流させることは、大都市にある総合大学の新たな役割であると私は考えている。
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