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明治大学広報
第599号(2008年9月1日発行)
本棚
〈いじめ学〉の時代
内藤 朝雄 著(柏書房、1600円)
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 本書は「いじめ学」の入門書である。本書が優れているのは、いじめ発生のメカニズムからその解決策に至るまで、平易な文章で、著者自身の体験を交えながら生き生きと論じられている点だ。

 特に、高校時代に味わった「管理教育」という名の凄まじい暴力に対して若き日の内藤さんの行った告発や、「山形マット死事件」をめぐるフィールドワークの体験は、実に迫力があり、本書のハイライトの一つとなっている。

 これらの体験は、著者自身も述べているとおり、彼が自らのいじめ理論を組み立てるうえで欠くことのできないプロセスだったのであろう。そして、このような生々しい体験に基づいているからこそ、彼の発想はきわめて実際的なのである。

 本書の最後で内藤さんが提唱しているいじめ解決策(短期的解決策としての警察の介入・学級制度の解体、中長期的解決策としての「きずなユニット」の構築)は、たいへん明快である。それは、来るべき世界を見越した予言とも受け取れ、われわれに明るい希望を抱かせるものである。

高瀬由嗣文学部准教授(著者は同准教授)



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