第602号(2008年12月1日発行)
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「近世・近代ヨーロッパの法学者たち」 ─グラーティアヌスからカール・シュミットまで
勝田有恒・山内 進 編著 千葉徳夫 共著 (ミネルヴァ書房、3500円) |
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西欧では、法の歴史は法の専門家によって多くは創られ担われてきた。法とは、人々の無意識的な意向の表現、共通の良心の産物であり、それ故に、法の担い手はその共通の良心をくみ取り法を発見し体現せねばならなかった。
本書では、ヨーロッパ法史の近代化の流れが知的担い手の観点からダイナミックに描かれる。全体の叙述は26人の著名な法学者についてなされるが、ボローニャにおける学識法学の形成、人文主義法学、近世自然法論、ローマ法学の近代化、啓蒙絶対主義の法典編纂、歴史法学派とパンデクテン法学、新しい潮流と展開してゆく。
本書は序章と26の章から成るが、各章とも、気鋭の法制史家による力のこもった人物史かつ学説史として完成され、読みやすく優れた法学者列伝となっている。10章は、惜しくも若くして逝去された本学法学部教授千葉徳夫氏の珠玉の一編「ゼッケンドルフ」である。
なお、編者の勝田氏と山内氏(共に一橋大学)は本学の元兼任講師である。
加藤哲実・法学部教授(共著者は元法学部教授)
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