第604号(2009年2月1日発行)
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血液型と性格についての話が盛んである。年間ベストセラーにそれぞれの血液型の自己分析書が並んだのは昨年のことである。話題づくりのためにこれほどまで多く読まれたのかもしれないが、こんなことでけんけんごうごうしているのは世界広しといえども、この日本だけであろう。
宗教や貧富、あるいは党幹部であるか否かで十分に相手と自分を区別できるのが他国では普通である。実態はともかく意識としてきわめて均質的な日本人はお互いの相違点を見つけるのに苦労して、ついに臨床医学的な指標を借りることになってしまったのであろう。
多くの専門学校の個性が奪われ、大学令の下に「大学」となった1920(大正9)年にわが明大の校歌も生まれた。独自のカリキュラムや建学理念が国家の教育統制下に埋もれていったのも事実だが、それぞれが校歌や応援歌で自己を主張していく中で明大のDNAも形作られていった。しかし出来上がったDNAの単純な継承だけではなく、次世代に通じる新DNAをデザインしていくこともわれわれの世代の緊要な責務である。
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