第606号(2009年4月1日発行)
本棚
「ことわざDE心理学のすすめ」
─現代日本社会・文化における知的大人となるためにはー
穴田義孝 著(文化書房博文社、2300円) |
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穴田氏はこれまでにもすでに数冊、「ことわざ」を主題にした著書を刊行している。今回の著作は、従来の研究をより深化させたものである。
われわれは日常的に「ことわざ」に無意識に触れている。「ことわざ」を意識せずに使うことも多い。そうして普段、何げなくわれわれの会話に登場する「ことわざ」は、誰が作ったか分からないのが通例である。「ことわざ」は「詠み人知らず」が大半である。
ところが、その「ことわざ」には不思議な力が備わっている。まさに「寸鉄人を刺す」パワーを持つのが、「ことわざ」である。ただ、「ことわざ」は理由なく使われるものではない。「ことわざ」には使うヒトの心理作用が大きく投影している
。その点で、「ことわざ」は怖い存在といえるのかもしれない。
この著作では、「ことわざ」の持つ心理的な作用がより学問的に解説されている。「ことわざ」をデータとしながら、それを素材にヒトの行動のアヤを解き明かそうとするのが、本著の特色である。貴重な業績が登場した。
中邨章・政治経済学部教授(著者は政治経済学部教授)
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