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明治大学広報
第606号(2009年4月1日発行)
論壇
「英語を用いた会話や議論が飛び交うキャンパス」
─世界に『開かれた』大学と個人─
経営学部長 小笠原 英司
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 明治大学は納谷廣美学長体制の6年目を迎え、2009年度、文部科学省ほか関係省庁が掲げる「留学生30万人計画」の方策の一つで、国際化の拠点となる30大学を選定する「グローバル30」に挑戦する。この目標実現のために、教学・法人一体となって、より一層の国際化推進が求められている。

 このような明大の国際化戦略は、早くから国際化政策に取り組んできた経営学部の基本方針と軌を一にするものである。経営学部はこれまでの施策に加え、さらに前進して、対外的国際化施策と「内なる国際化」を積極展開し、国際経営学部としての内実を充実させていきたいと考えている。

 その一環として、明大の協定校であるヴィクトリア大学(カナダ)のビジネス学部と学部間協定を締結し、本年度から両学部生を若干名ながら留学交流するプログラムを実施することにした。そのため、複数の英語による専門科目を新設し、一部の既存科目を英語による授業に転換して、これらの科目を客員教授の任用によって対応する予定である。さらに、現有の専任教員もオムニバス方式などで専門科目の英語授業を担当すべく企画している。これを足掛かりとして、今後は学部間協定校をアメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ各国の主要大学にも広げていく予定である。

 こうした施策は、英語や英語圏留学に関心のある一部の学生や、欧米系留学生のためだけになされるのではない。多くの日本人学生やアジア系留学生もまた、英語の授業によって経営を学習し、国際言語である英語に親しむことによって、国際的経営人としての基礎を修得することができると期待されるからである。国際英語は必ずしもネイティブ・イング リッシュである必要はないと考えれば、ブロークンでもジャパニーズでも構わない。とにかく、英語を用いた会話や議論が飛び交うキャンパスを経営学部の日常にしたい。

 言うまでもなく、英語の使用はあくまでも手段であって、目的ではない。「世界に開かれた大学」を目指し、国際化を推進する中で忘れてならないことは、自分たちとは異なる文化や思考様式、行動原則が存在することを理性的に受容することである。他国は異国であり、他国人は異国人であることを正しく認識しなければ、国際交流も国際協力も始まらない。私たちは「異なる」ことに不寛容であってはならない。これは個人間一般でも全く同様であろう。

 「個を強くする」ということは、単なる自己主張の強調ではない。個の強調は、逆説的ながら「お互い様」を認識するところから成立する人間観を基礎とするものでなければならない。それは、他者が自己とは「異なる」ことを自覚することであり、全ての個人が不可侵の「異なる」存在であることを再確認することである。他者に対して自己と同等の尊厳を認める寛容と尊重がなければ、「個を強くする」ことも、「開かれた」世界に参加することもできないであろう。



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