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明治大学広報
第607号(2009年5月1日発行)
本棚
「日本人と持続可能な社会」
新田 功 編(人間の科学新社、2286円)
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 地球環境問題への関心の高まりとともに、「持続可能性」という言葉が世間の注目を浴びるようになった。最もよく使われる用法では、「将来世代が享受すべき福祉を犠牲にすることなく環境保全と経済発展との折り合いをつけるための条件」といった意味であろう。本書の冒頭でも、このように定義される持続可能性を客観的にどう指標化するかという問題が検討されている。

 だが、本書の魅力は、10人の執筆者が持続可能性というキーワードをそれぞれのやり方で解釈し、全体社会レベルだけでなく地域コミュニティのレベル、あるいは経済や福祉システム、伝統的慣習や価値規範といったさまざまなサブシステムの分析にこの語を適用しながら縦横無尽に議論を展開しているところにある。この読書体験はとても刺激的である。

 本書を通読して再認識することは、持続可能性が決して現状維持や節約を志向する保守的な概念ではないということ、むしろ日本社会の既存のあり方に反省や変革を迫るラディカルな要素を含んでいるという点である。

竹下俊郎・政治経済学部教授(著者は政治経済学部教授)



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