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明治大学広報
第607号(2009年5月1日発行)
論壇
「世界に通じる競争力を」
国際日本学部長 蟹瀬 誠一
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 「コンニチワ!」

 私が教室に足を踏み入れた途端に元気なあいさつが響いた。ちょっとはにかんだ笑顔、だが、どの瞳もキラキラと輝いている。3月中旬、ベトナム南部ホーチミン市内の名門レクイドン高校で日本語の授業を視察した際の光景である。翌週は香港を訪れたが、そこでもエネルギッシュな学生たちに出会った。意欲のない若者が増えているといわれる日本とは対照的である。なんとかしたい。そんな思いから、国際日本学部では一人でも多くの熱意溢れる留学生を受け入れ、日本の学生たちとお互いに切磋琢磨してもらいたいと考えている。それが21世紀のグローバル社会を生き抜く力となると確信しているからだ。

 昨年開設されたばかりの本学部は、その名の通り日本の文化・社会システムに対する深い理解とグローバルに活躍できる英語コミュニケーション能力を兼ね備えた人材を育成することを目的としている。そのため、漫画文化論から日本社会システム論まで、幅広い学際的なカリキュラムを取りそろえている。しかし何を学ぶにせよ、必要となるのは真の学力を身につけることである。では真の学力とは何か。それは「自分で物事を判断する力」、「問題を解決する能力」のことだ。

 ところが戦後の詰め込み教育、受験教育、偏差値偏重は、教育を「教えられたことを記憶すればいい」といういわば“訓練”に置き換えてしまった。そして教えられたことをどれだけ記憶しているかを測る偏差値とで個人の“学力”が表されるようになってしまった。確かに、経済復興・工業化を推し進めるには従順で均質な労働力が必要かつ便利な存在だったのだろう。しかし今は違う。経済が成熟し、否応なしに国際化の大波が押し寄せている現在、求められているのは「自分で考え行動する力」である。まさに明治大学がスローガンとして掲げている「『個』を強くする」ことなのである。

 本学部では、在学中に「自分はこんな人生を歩みたい」という強い願望と目的意識を持てるような若者を一人でも多く育てていきたい。

 もちろん目的意識が必要なのは学生だけではない。教員にも高いプロフェッショナル意識が求められている。教員の意識改革なくして“教育再生”は不可能だからだ。そもそも“education(教育)”は“e-(外に)duc(導く)ation”ということである。つまり教育者は学生のやる気を高め、彼らの潜在能力を導き出すのが仕事なのだ。そのため、本学部ではこれからも国籍を問わず広く社会で活躍してきた経験豊富な逸材を教員として迎え入れていきたい。国際日本学部が、いや明治大学全体が、ベトナムや香港で出会った熱意溢れる若者が集う場所になることを期待しながら。



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