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明治大学広報
第608号(2009年6月1日発行)
本棚
「世界文学の扉をひらく」
─第一の扉 運命をあきらめない人たちの物語
立野正裕 著(スペース伽耶、1000円)
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 著者の企図は、短編小説ないしは中編小説の傑作・秀作を選りすぐり、「そのおもしろさを、現代の若い読者の前に一作一作ぞんぶんに引き出してみたい」とある。それをシリーズ化して刊行する第一冊目で取り上げたのは、ヴェルコール作『海の沈黙』、カロッサ作『ルーマニヤ日記』、スコット作『二人の牛追い商人』、マルケス作『大佐に手紙は来ない』、ロンドン作『面汚し』の五編。いずれもが運命的な状況に置かれた人間の生き方における精神のたたかいが核心を成す。各章の構成は、作品紹介、作家・作品の時代背景と社会状況、そして、老若男女の質問者との応答の再録、文献紹介である。再録されているのは著者が講師として参画する「文学講座」の面々の意見。すでに五十編ほど読んだ「講座」が本書の母胎だ。手だれの小説読みの著者のガイドと意気のいい多彩な発言から、各作品の魅力が垣間見えいざ書店へと誘いかける。巻頭の大西巨人氏との闊達な対談も併せて、老人をも引き込む読書案内と実感した。編篇刊行を切望する。

 佐藤正紀・文学部教授(著者は文学部教授)



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