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明治大学広報
第609号(2009年7月1日発行)
就任所感
「明治高等学校・中学校長に就任して」
明治高等学校長兼明治中学校長 金子 光男
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 ひとつ、こんな光景を思い浮かべていただきましょうか。ほんの2ヵ月前までは小学生でしかなかった生徒らが、まだ身体になじまぬ学生服を身にまとって、「アッ、校長先生だ、おはようございます」と、元気な笑顔で挨拶する図を。こうした出迎えを受けて、心を動かされない教師がいるでしょうか。同時に、生徒一人ひとりの多幸を切に祈る一瞬でもあります。

 現在、わが付属は調布への移転を機に、さまざまな課題に直面しているようです。男女共学への移行にともなう教育体制の確立、近隣進学校との競合の他にも、大学受験を経ないがゆえの基礎学力の問題等々。これについては、各学部からも厳しく指摘されています。

 確かにこの問題は、われわれとしても真摯に受けとめ、本校の教育体制を点検・改善していかなければなりません。ただ、悩みはここから始まります。学力重視を強化するほどに、本校の実体は受験進学校のそれへと近づかざるを得ないからです。

 しかし、本校は決して受験校ではありません。むしろ、生徒たちは受験勉強から解放され、自由な学びと課外活動にも軸足を置きながら、学園生活を謳歌する。かくて豊かな教養、深い人間性も育まれましょう。これもまた、本校の教育方針のひとつであったと存じます。

 そして、本校のこの姿勢は、現在なお、受験界のみならず大学内においても確かなご支持を得ているように思います。と申しますのも、2、3の学部からは、入学させたい付属生徒とは、学力もさることながら、むしろ一般入学生を纏め上げ、クラスの中核的な存在になりうる生徒たちだ、とのお言葉を得ているからです。

 要はどちらにも偏しないバランスの問題でしょう。これはまた全ての付属校が抱える永遠の課題でもあります。ただ、言うは易きこの問題の前で、私はたじろぐばかりですが、あの生徒たちの眼に励まされて、微力なりとも尽くす所存です。

 (政治経済学部教授)



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